市長の手控え帖 No.47 「白河と会津の縁」

市長の手控え帖

今年はロンドン五輪の年です。白河高校を卒業し、白河を拠点に活躍している新田祐大さんが自転車競技の代表となった。会津若松生まれで、自転車に憧れレベルの高い白河に移り住んだとのこと。ご自身もオリンピック選手だった名伯楽、班目秀雄さんの指導を受け、着々と力をつけてきた。師は言う。「彼はきらめく才能を持っているわけではない。しかし努力する天才だ」。目標に向かい、長く苦しい道を、強い意志を保ち続け歩むことは難しい。ウサギとカメの寓話どおり。歩みはのろくとも、たゆまずに確かな足跡を刻む者に女神は微笑む。実物の新田さんはきりっとした目のイケメンでした。ロンドンの大舞台でさわやかな一陣の風を吹かせてください。

戊辰の白河、最大の激戦地稲荷山。そのふもとに会津藩士の墓と慰霊碑がある。長いこと七・九番町の方々が墓守りをし、毎年6月第一日曜、無念の死をとげた士の霊を弔っている。大地震で被害を受けた碑も自分たちで修復した。立派なものです。東京の会津会や会津弔霊義会の代表に加え、今年は会津若松市長も参列された。会津での殉難祭にも代表者が参列し交流しているとのこと。白河と会津の縁は深い。

道をはさみ向かい側には、遠い異郷に眠る長州・大垣藩士の墓があり、同じく霊をなぐさめている。今、二つの墓は恩讐を超えるかのように静かにたたずんでいる。

来年のNHK大河ドラマは「八重の桜」。貞淑で家に仕えるのがあたり前とされたモラルを、軽々と超え烈しく生きた女性の生涯を描く。鶴ヶ城に立て籠もり、自ら銃を手に戦う。会津のジャンヌ・ダルク。敗戦の虚脱の中、場所を兄のいる京都に移し再出発する。空虚さを埋めるような新島襄との出会い。夫を助け、ときに尻に敷き、同志社大学の創立に心血を注ぐ。男尊女卑の風潮の中、徹底して平等を説き実践する。燃えたぎる炎は、日清・日露戦に自ら志願し看護婦として赴いたという。いやはや大した女性がいたものです。

戊辰の会津は西軍の最大の標的。「鶴ヶ城と白虎隊の悲劇」に象徴されるが、これでは全体像は見えない。軍事的に重要な戦いは越後長岡と奥州白河。会津は雌雄が決した後の籠城とゲリラ戦。長岡は、河井継之助という傑物を司馬遼太郎が「峠」に書き世に知られている。白河は東西両軍が対峙し、千人を超すほどの死傷者が出た戦闘にもかかわらず、歴史の底に埋もれてしまった。誠に残念です。この旨をプロデューサーに話したところ、同様の考えを示された。明治の幕を明ける白河での激突が放映されます。期待しましょう。

小峰城の西側に広がる会津町。白河も領地としていた会津の蒲生家が改易となり、多くの浪人が出た。棚倉から白河に移ってきた丹羽長重が、これらの家臣を召し抱え住まわせたため、「会津町」と名付けられたとのこと。白河には、今でも会津にゆかりのある方が少なからず住み、「あいづ」の名で商いをしている店もある。

会津若松の中心から五つの街道がのびる。白河・二本松・越後・下野・米沢街道。白河街道は奥州街道を経て江戸につながる重要な道。今の国道294号がこれにあたる。湖南・長沼・天栄・大信を経て白河へ。街道の名残りは今もある。三菱ガス化学の工場用地造成が始まった一角に、石畳の跡がある。また飯土用・滑里川の間に往時の記憶をとどめる一里塚がある。上小屋には各戸に屋号がつき、宿場の面影を残している。

会津武士は勇みこの道を白河に急ぎ、肩を落とし故郷へ戻った。会津の総督は西郷頼母。会津藩が火の粉を浴びる姿を見越してか、藩主・容保の京都守護職への就任に反対。藩内の冷たい目にさらされ、白河敗退の責任も追及された。辱し目をうけまいと夫人・娘ら一族は自刃。明治に入っても、朝敵会津の元家老に対する世間の風当たりは強い。棚倉都々古別神社や、日光東照宮の宮司として孤に耐えた。

5年余り前、稲荷山に頼母の「蝸牛の歌」の碑が建った。頼母の研究者で、白坂に工場のある中央精機の堀田節夫会長の情熱によるもの。己の境遇を顧みて、身を隠すことのできるカタツムリがうらやましいと、苦しい心のうちを歌う。

晩年白河を越える折二人はこう詠んだ。
八重 「老いぬれど 又も超えなん白河の 関のとざしは よし難くとも」。
頼母 「旅にねし むかしの夢のあととへば うらみを知るや 白河の関」。万感の思いを込め会津へ向かった。

司馬遼太郎も名著「街道をゆく」シリーズで、白河・会津のみちを書いている。歴史的な縁を大事にし、共に競いあいながら誇れる郷土をつくっていきたいと思います。

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