市長の手控え帖 No.53 「巳年に思う」

市長の手控え帖

明けましておめでとうございます。暮れの選挙で国政は再度、自民・公明に委ねられた。政権担当の力を欠いた民主に厳しい審判だった。確かに、内紛の連続で政治主導がいつの間にか官僚主導になるなど、稚拙な運営であった。しかし、前政権の負の遺産にも苦しんだことは割引いて考えてやるべき。要は、20年近く漂流する政治全体に責任がある。世界の賞賛を浴びたかつての成功モデルは、通用しない。あれは、冷戦下で平和に恵まれ、人口も増え、ひたすら経済に専念できた時代の話。

少子高齢化の衝撃、デフレに経済低迷、波高い東シナ海。激しく変わる環境に適応するには、国民と対話しつつ、的確かつ大胆な政策を打ち出すことが必要。我々は、変わらなければならない。「脱皮しない蛇は滅びる」と先人はいう。

今年は巳年。可哀想に蛇は好かれない。人のそばにいる犬や猫のように、愛玩の対象にならない。勿論、トラさんクマさんのように、落語に登場する愛嬌もない。しかし、古代では強い信仰を集めていた。エジプトなど地中海では賢さと強さで崇められ、ギリシャ神話では大地や水と結びつけられた。旧約聖書では、モーゼ率いるユダヤの民が青銅の蛇で邪悪を払う。中国では、天の四方を守る霊獣のうち、北を司る玄武は亀と蛇の姿で表される。

日本でも奈良三輪山や赤城山の大明神は蛇であり、白蛇は幸運の象徴とされる。また鏡餅はとぐろを巻く姿、みかんは光輝く目を表すという説もあり、蛇は民衆の生活に溶け込んでいた。蛇に対する信仰は、何度も殻を破り、たくましく命を永らえる「脱皮」にある。そして太古の人は、これを復興と再生のシンボルとし、畏敬の念を抱いていた。

子どもの頃、ヘビは身近だった。巣のヒナがキャーキャー口をあけている。音もなくしのび寄るヘビ。餌を運んできた親つばめの金切り声が空しく響く。自然の厳粛な営みを息を詰めて見上げていた。太く長い青大将が土蔵の白壁を這いあがる。子どもが黄色い声で石を投げつけるが、悠然と窓から暗闇に消える。蔵の守り神だからいじめるなと祖母に諭される。不思議とこれが気にかかっていた。駄々をこねたり、喧嘩したりすると「蔵に入れるぞ」と叱られる。暗く冷たい蔵の中、いじめたヘビがチョロチョロ舌を出し、米俵の上にとぐろを巻くのを想像し、ゾッとしたものだ。

夏休みの楽しみは水泳ぎ。照りつける日射しの中、子どもらは味噌・塩を懐に、赤く渇いた小道を急ぐ。目の先に真横に伸びた棒きれ。近づくとヘビの昼寝。一瞬息が止まる。夜更かししたのか、逃げようともしない。土手の上で、こっそり頂戴したトマトやキュウリを口にしながら休んでいる。すると、その隙をぬい、高速船のように身をくねらしたスイマーが川を渡っていく。家の前を流れる小川の岸辺で、灰色の細長くすき透る縞模様をよく見かけた。脱皮したヘビのぬけ殻とわかったときは、何か常のものではない神々しさを感じた。

嫌いな人ほどヘビに目ざとい。かつては春から夏にかけ、畦や茂みや山道でたびたびお会いしたものだ。近頃は目にすることも減ってきた。好ましいのかもしれないが、人の近くにヘビが生息し、互いに「望まない」出会いが日常的にあるのが健全に思える。

大震災からもうすぐ2年。津波・原発でいまだ多くの人が苦しんでいる。普通の生活を取り戻す道のりは遠い。双葉の人々は戻れるあてなし、住む家なし、仕事なし。物的賠償も決まらず仮設住宅で不自由な暮らしを強いられている。気持ちがなえていくのを誰がとがめられようか。国内に流浪の民が出ることを、やむなしとする為政者はいる筈もない。しかし、その恐れは否定できない。的外れの政策や救済の遅れ、制度の不備により放置されるとしたら国の恥。かつて、満州開拓民は国の呼びかけに応じ入植。辛酸をなめたにもかかわらず、戦乱の中で棄民となった。被災者を守れずして、愛国を口にしても嘘っぽく聞こえる。

白河では、市営住宅を除き災害復旧はほぼ終わる。地元のご協力で仮置場も順次決まり、本格的除染を進める条件が整った。内部被ばくを測るホールボディカウンターの設置も決まった。また年内に市民文化会館の建設にも着手し、三菱ガス化学の用地造成も終了する。ご心配の小峰城石垣の修復もこの夏から始まる。話題のドラマ「八重の桜」にも、戊辰の決戦の地として白河が登場する。松方弘樹主演の映画も白河をロケ地に撮っている。今年も皆さんと一緒に元気に歩いていきます。

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