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市長の手控え帖 No.68 「日本初の専用高速線」

市長の手控え帖

JRバス関東白河支店が、JR東日本総合研修センター近くに移転した。棚倉町にあった営業所もここに統合された。以前の事務所は、新市民会館予定地にあり、快く提供して頂いた。今後白河支店を拠点に、白棚線・市内循環バス・長距離バスを運行する。市もJRとの連携を強め、市民生活を守っていきたい。

白棚線は長い歴史を持つ。もともと鉄道が走っていた敷地を舗装しバスに転換した。「国鉄自動車専用道白棚高速線」として開業したのは昭和32年4月。レールが撤去された13年後のこと。1月に着手し3か月余りで一挙に整備した。地元は鉄道復活を望んでいたが、国鉄は採算性は難しいと慎重。むしろローカル線の将来を見越し、バスへの切り替えを計画。白棚線はその先駆けとなった。住民も「汽車の走らない鉄道」より、実現しやすい「レールのない鉄道」を受け入れた。

白河・南湖・金山・棚倉24キロメートルを40分で結ぶ。旧鉄道より15分短縮。より速く時間は正確。祭りや観光などの臨時輸送にも対応できる。また白棚線で名神や東名高速を走るメーカー試作バスの試験運転も行われた。昭和44年東名高速バスが開業するまで、白棚線が唯一の「高速」路線だった。もとより、今の高速道とは比べようもないが、国道でも砂利道があたり前の時代に、日本初の専用自動車道が走ったことは、交通史上さん然と輝いている。

日本の近代化は鉄道の歴史でもあった。特に明治・大正における最大の公共事業は鉄道敷設。各地域の悲願で、今の新幹線や高速道路と同じように全国の請願競争となった。明治30年代には、常磐線と東北本線を水戸・棚倉・白河で結ぶという「白水線」構想があった。具体的になったのが白河棚倉線。明治の末、中間の金山村にあった金鉱山や炭坑経営者、沿線有力者が精力的に動いた。幹線でないことから、私営の「軽便鉄道」だった。

大正2年6月に免許がおり、翌3年6月、白河で白棚鉄道株式会社の設立総会が開かれた。ちょうど百年前のこと。東京・福島の実業家を中心に、地元有志らで株の35%を有したが、65%は沿線の1口株主。1株を数人で負担するなど庶民が貴重なお金を出しあった。用地も集落がまとまって地主と交渉、買い上げ、会社に寄附したとのこと。国からレールや機関車の払い下げを受け、大正5年10月営業開始。当時は第1次大戦の特需で好景気。会社も順調で5年後には、客数・貨物も倍増した。

ところが終戦で一転して不景気。炭坑の力も衰え、これに代わる物産もない。大正末には、鉄道に並走し乗合バスが進出し客を奪う。昭和9年には水郡線が開通し物流が変わる。昭和不況も重なり、経営は悪化の一途。挽回の見通しが立たず、国に買い上げるよう請願。昭和16年国有化され、同19年には軍需資材に供するためレールが外された。大正から昭和へ、白棚鉄道は一定の役割を果たしたが、企業として存続するには市場が小さかった。しかし、国有化で廃線を免れたのは幸いだった。

「田舎のバスはオンボロ車 でこぼこ道をガタゴト走る」と歌われた頃、高速バスがデビューした。希望と成長のシンボルだった。平らできれいな道を、颯爽と風を切り、水田・緑野の中をいく。木立や標柱が近づいては後方に流れ、車内からの眺めも良好。子供心にワクワクした。専用だから、人・自転車は通れない。分かってはいるが走ってみたい。誰かが、自転車で南湖まで行ってみないかと言う。互いに顔を見合わせ、うなずく。恐る恐るバスが来ないか前後を伺う。来ないのを確認し、猛然とペダルを踏む。砂利道とは異次元のスピードと滑らかさにウキウキ。「バスだ」の声に素早く斜面に愛車を倒し、頭を伏せる。ドキドキの思い出がなつかしい。

高校の頃は白棚線の全盛期。今では信じられないが、朝は通勤通学であふれかえっていた。急行バスもあった。私らの停車場はごく小さく、急行は止まらない。止まるはずのバスも「満杯です 次のにして下さい」と通過。なんと次のにもふられる。やっと乗ったものの時間が気になる。息をきらして学校へ着くと、すでに授業は始まっていた。「バスが遅れました」と頭を下げると、先生はじろりとにらむ。遠く矢祭・塙から通う生徒が涼しい顔で席についている。汗がタラリ…。

40年代半ばには、年間250万人もの利用者がいた。その後車社会になり、一般道も整備され客数は減少した。路線も289号の拡幅改良とともに、専用部が少なくなった。だが、時が移り人が変わっても、白棚線は80年にわたり鉄道・バスとして継承されてきた。地域の宝を守り支えてこられた先人の努力に、心から敬意と感謝を申し上げたい。

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