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市長の手控え帖 No.72 「福島を愛した作曲家」

市長の手控え帖

全国の高等学校総合体育大会と、定時制通信制体育大会に出場する高校生が挨拶にきてくれた。県で優勝した女子剣道部・男子弓道部、上位入賞の自転車、走り高跳びの白河高校と卓球の白河第二高校の選手たち。どの生徒も澄みきった目がきらきら輝き、まぶしさに気押されるようだった。ひたすら目標に向かって進む青春のエネルギーを感じ、爽やかで満ち足りた心持ちになった。

剣道部には、いわき市や田村市から、白河に下宿したり通学している生徒もいる。「白高剣道部は強い、私も強い学校で上達したい」。その向上心が、家を離れる寂しさも、夜明けの電車に乗り星空に帰宅する日々も乗り越えるのだろう。また昼は仕事、夜学びながら、卓球に打ち込む姿勢にも頭が下がる。たゆまぬ練習を通して技が磨かれ、強い精神もつくられる。

ともすれば、濃密な交わりは敬遠される。しかし、生涯にわたる友情は、時間と空間を共有し、心のやりとりから生まれるように思える。学生時代の下宿。八つの三畳間に、共用のトイレ、炊事場、物干し台。食事をとった後、ひと部屋に集まり、安酒を手に青っぽい議論を交わす。当時の下宿生との交流は今も続いている。修練の場が少ない今の社会で、体育文化活動は貴重な人生道場になっていると思う。

甲子園で夏の高校野球が開かれる。各県代表が夢と栄誉をかける国民的行事。大会の開閉会式で演奏される「栄冠は君に輝く」は誰もが知っている。作曲者は古関裕而。福島市の呉服屋に生まれ、応援歌、校歌、軍歌、歌謡曲、童謡まで驚くほど多くの曲をつくった。

早稲田大学の応援歌「紺碧の空」は若き日の作。今も慶応大学の“若き血”とともに神宮の森にこだまする。阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」で、阪神ファンはともに喜び、ともに泣く。ある大手企業の工場長は、もの静かで知的な紳士。ところが、前奏が始まるや、顔を紅潮させ、こぶしをあげ「六甲おろしに 颯爽と蒼天翔ける日輪の…」と声を張りあげる。歌い終わると涼しげな顔。阪神ファンは熱い。

戦争が近づくと、心ならずも軍歌をつくるが、「暁に祈る」のように哀愁を帯び、故郷を偲ぶ兵士の思いを伝えようとした。古関は自分の曲で送られ、戦死した人へ終生自責の念を持った。戦後は一挙に花が開く。壮大な鎮魂歌「長崎の鐘」。子どもに夢を与えた「とんがり帽子」。アイヌの祭りを讃える「イヨマンテの夜」。ラジオに釘づけで銭湯が空になったといわれる「君の名は」。東京オリンピックの開会式に鳴り響いた「オリンピック・マーチ」。クラシックの香りと、叙情性が調和した格調ある曲は大衆の心をとらえた。

歌手にも恵まれた。正統派の歌唱とテノールの美しい音色で演歌からクラシックまで歌いこなす藤山一郎。本県本宮市に生まれ、オペラ風に朗々と、バリトンで情感たっぷりに熱唱する伊藤久男。抜群の伸びと清らかな音声で魅了した岡本郭郎。古関作品は、一流の歌い手によって胸に染み込んでいった。

作詞家も、日本を代表する詩人の西條八十、サトウハチローや劇作家の菊田一夫ら、そうそうたる顔触れ。その中に、本県小野町出身の丘灯至夫がいる。特に「高原列車は行く」は、軽快なメロディにのせ、美しくメルヘンティックな光景が浮かぶ名曲。「汽車の窓からハンケチ振れば 牧場の乙女が花束なげる 明るい青空 白樺林 山越え谷越えはるばると…」。モデルは、磐越西線川桁駅から沼尻を結ぶ、旧沼尻軽便鉄道。沼尻の硫黄鉱石を輸送するため敷かれた。実際は高低差が大きく、軽やかにとはいかなかったが、湯治客や観光客も運んだなつかしの鉄道だ。

昼のNHKラジオから「ひるのいこい」のテーマ曲が流れる。これが実に心地よい。ゆったり、のどかな風景が眼前に広がるようで、安らぎを覚える。何をせかせかしているのかと、諭されているようにも思える。吾妻山にいだかれ、桃の花咲く信夫の里に思いをはせ、つくったのだろう。

福島駅に古関メロディが流れている。在来線に「高原列車は行く」、新幹線には「栄冠は君に輝く」。古関は福島市の名誉市民となり記念館も建てられた。功成り名遂げた晩年の顔は、限りなく温和で仏様のよう。しかし、強い意思を持たずにあれだけの業績は残せない。「悪貨は良貨を駆逐する。自分を厳しく律しなければ人は易きに流れる」を口にしていたという。己に厳しく、人に優しくを実践した人だ。

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