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市長の手控え帖 No.88 「からくり人形とロボット」

市長の手控え帖

早いもので大震災から5年が過ぎようとしている。皆様のたゆまぬ努力と、不屈の精神に敬意と感謝を申しあげます。また“改めて犠牲となられた方々の御霊に”心から哀悼の意を表します。

先頃県は新たな産業振興策を打ち出した。ひとつは、世界で飛躍的に需要が高まる航空分野への参入。航空機は先端技術の集まり。関連部品は自動車とは桁違いで、多くの雇用も見込まれる。もうひとつはロボット産業の集積。少子高齢化で働き手が減少する中、ロボットは製造・介護・農林・建設業で作業の効率化、肉体的負担の軽減に大きく貢献する。

特に本県は原発の廃炉という、困難な課題に向きあう。長く過酷な作業を伴う現場では、災害用ロボットの投入が待たれていたが、この実用化に向けた施設を整備するという。また国と共同でロボットの研究所もつくる計画もある。誠にタイムリーだ。本県は岩手・宮城に比べ特異な状況に置かれている。だからこそ、悲惨な災いをバネにし、未来への道を切り拓く気概が求められている。知事の「進取果敢」な手腕に期待したい。

ロボットはどんどん進化し、生活や産業を変える。これに人工知能やITが融合することになれば、想像を超えた世界が広がるものと思われる。

ロボットは百年ほど前、チェコスロバキアの小説家カレル・チャペックが、戯曲で用いたのが始まり。ある工程を自動的かつ連続的に行い、人の姿や行動を模してつくられたものを指す。ロボットは近代文明の所産であり、どこの国にも存在している。しかし地域によって、その視線は異なるようだ。

私達は、新しいテクノロジーを抵抗なく受け入れる。ロボットに“花子”とか“百恵”と名をつけ、今日の花子ちゃんは機嫌が悪い、といったりする。鉄腕アトムやドラえもんは、人と意思の疎通ができ、安心できる仲間になっている。

日本人は、山川草木全てに神をみている。日常用いる道具とも心を交わす。人を弔うように、使い古した縫い針・筆に感謝し、神社や寺に納め供養する習わしがある。江戸時代の百鬼夜行絵巻には、傘、琴、蒲団、瓢箪らが、意思や感情を持った生き物のように、ぞろぞろ歩く姿が描かれている。日本人の心の底には、アニミズム的精神が息づき、これと最先端の技術がうまく折り合っている。

一方、西洋では事情が違う。ロボットはチェコ語の「強制労働」に由来するように、辛い嫌な仕事をさせられる存在。人の仕事を奪うことへの不安もあるが、根底には、機械が人の領域へ入り込むことへの懐疑と反発がある。創造主である神が創った世界では、人間とそれ以外は明確に区別される。僕たるロボットが、人間と会話することは考えられない。もしロボットが意思を持つようになれば、人間に敵対するのではないかと身構える。

日本人は新しい技術への好奇心が強く、これを改良することに熱心だ。16世紀半ば、鉄砲が伝わると、またたく間に世界有数の保有国となる。戦国期、滋賀に国友という、高性能の鉄砲を生産する土地があった。優れた職人集団が分業し、村全体が工業団地のようだったという。

同じ頃、機械時計が入る。西洋は1日を24等分する定時法。日本は昼と夜を等分する不定時法を用いていた。当然昼と夜、季節で時間が異なる。そこで、速さを自動的に調整する技術が必要となる。その最高傑作が、「からくり儀右衛門」と呼ばれた天才発明家、田中久重作の万年時計。曜日、二十四節気、旧暦の日付など、時の概念と卓越した技が凝縮されている。

和時計の精巧な技術を遊びに使ったのが、からくり人形。江戸のロボットといえる。手に茶碗を置くと客の方に歩き出し、茶碗を取ると止まる。客が再び戻すと向きを変え主人の元に帰る「茶運び人形」。矢立てから矢を取り、つがえて的を射る久重作の「弓曳き童子」。一本は外れるような仕掛けになっているというから驚く。自動制御を内包した可愛らしい人形は、大衆の喝采を浴びた。

久重は、蒸気機関車や蒸気船の模型もつくった。明治の初め、技術開発を急ぐ政府の招きで九州から東京へ出る。70歳を過ぎていたが心はたぎる。“万般の機械考案の依頼に応ず”と、銀座に電信機会社を興す。後に芝浦に移転し、東芝の前身となる。

万物に神霊を感じる心根と、脈々と受け継がれてきた技術の遺産は、今後もロボット大国日本を支えていくものと思う。

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