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市長の手控え帖 No.92 「異端の俳人と美人女優」

市長の手控え帖2

先月、全国市長会議を終えた足で熊本市を訪れた。市長に震災のお見舞いを申し上げた。熊本城は堂々とした天守閣、櫓、石垣を持つ日本の名城。その無残な姿に息をのんだ。まさに満身創痍。数百年持ちこたえる城郭を復元するためにも、長期の計画のうえに地道な取り組みが必要だ。元の位置に戻すため石に番号をうつ。作業の公開といった小峰城の手法が参考になれば幸いである。

5年前、私たちも多くの自治体から支援を頂いた。そのひとつが山口県防府市。発災後、水の確保に全力をあげているとき、遠路、給水車をまわしてくれた。また、原発事故の風評に苦しむ白河市をとても心配し、防府市の中心街に「白河物産コーナー」を一年間設置して頂いた。市長が大学の先輩という縁もあるが、心からありがたく思っている。

山口といえば長州。長州は、下関・萩の長門の国、防府・岩国の周防の国に分かれる。周防は、幕末の舞台となった長門に比べ知名度は低い。だが、古い歴史と薫り高い文化を持っている。奈良から平安にかけ、全国に、今の県庁にあたる国府が置かれた。国府の都市は政治・軍事・文化の中心だった。防府は「周防の国府」に由来する。そのシンボルは天満宮。菅原道真を祭る神社としては最古といわれる。立派な社に続く参道には店が立ち並び、参拝者が絶えない。

防府に縁のある人がいる。種田山頭火。季語や五・七・五にとらわれない自由律俳句を詠んだ。防府の大地主の家の出。幼い頃、井戸に身を投げた母に癒しがたい心の傷を負う。大学も神経症で中退。相場の失敗で家が傾く。酒造業も始めるが倒産。一家離散で逃げるように熊本へ移る。酒に溺れる。もともと社会に適応する力がない。生活苦で妻とも別れる。

いよいよ一人。四十才頃からさまよい始める。放浪、漂泊、流転。旅ならば戻るところがある。悲しいかな山頭火には戻る場所がない。あちこちで食べ物を恵んでもらう行乞の日々。九州、中国、四国、信州。いいようのない虚しさ、寂し さ、やるせなさを抱えながら歩く。心の奥底から魂の叫びが吐き出される。
・うしろすがたのしぐれてゆくか
・分け入っても分け入っても青い山
・鴉啼いて私も一人
・どうしようもない私が歩いている

防府では、乞食坊主などと悪口を言われ続けてきた。今、天満宮のそばに、功績を顕彰する記念館が造られている。泉下の山頭火はどう思っているだろうか。

夏目雅子は大女優になる予感があった。 誰もが若すぎる死を惜しんだ。墓は防府にある。瀬戸内の海を見下ろす高台にひっそり眠る。結婚相手は、防府出身で作家の伊集院静。CMディレクターの時、夏目をモデルに起用した。

夏目はひまわりのように明るい。伸びやかで屈託がない。CMデビュー時の小麦色した肢体、黒く大きい瞳は生の輝きそのものだった。TV「西遊記」の三蔵法師は愛くるしい。“なめたらいかんぜよ”が流行語となり、凄みをみせた「鬼龍院花子の生涯」。日傘をくるくる回し、歩道橋を降りてくる謎の美女を演じた「時代屋の女房」。

代表作は「瀬戸内少年野球団」。阿久悠の小説をもとに篠田正浩が映画化した。敗戦直後の淡路島が舞台。野球を通して民主主義を学ばせようとする女教師と、子供たちの絆を描く。“私たち野球をやりましょう”夏目が子供に呼びかけるシーンが印象的。岩下志麻、大滝秀治、ちあきなおみらが、様々な人間模様をコミカルに、味わい深く演じている。

戦後の解放感と青い海に、夏目雅子の透明感のある美しさがぴったりあっている。ひとつの時代を代表する女優だった。

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