○白河市中小企業・小規模企業振興基本条例
令和2年3月25日条例第16号
白河市中小企業・小規模企業振興基本条例
(目的)
第1条 この条例は、中小企業者等が本市において果たす役割の重要性に鑑み、その振興に関し、基本理念を定め、市の責務及び中小企業者等の努力等について明らかにするとともに、中小企業者等の振興に関する基本的な事項を定めることにより、その振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって地域内経済の循環をはじめとした本市経済の活性化及び市民生活の向上に寄与することで、持続可能な地域社会の形成を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当するものであって、市内に事務所又は事業所を有するもの(小規模企業者を除く。)をいう。
(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する小規模企業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 中小企業者等 中小企業者及び小規模企業者をいう。
(4) 中小企業団体 商工会議所、商工会、一般社団法人産業サポート白河その他の中小企業者等の振興を図ることを目的とする団体であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(5) 大企業者 中小企業者等以外の事業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(6) 教育機関 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校のうち、市内に存するもの及び市内で教育研究活動等を行うものをいう。
(7) 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融業を行うもの及び信用保証協会であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(基本理念)
第3条 中小企業者等の振興は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
(1) 中小企業者等の自らの努力及び創意工夫により、事業の持続的な成長及び発展が促進されること。
(2) 中小企業者等、中小企業団体、大企業者、教育機関、金融機関、国、県、市及び市民の連携及び協力のもと促進されるとともに、経済的又は社会的環境の変化への円滑な適応がなされること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念にのっとり、関係部局の横断的な連携を図り、中小企業者等の振興に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、前項の施策の実施に当たっては、中小企業者等、中小企業団体、大企業者、教育機関、金融機関、国、県及び市民の連携及び協力の促進に努めなければならない。
3 市は、第1項の施策の実施に当たっては、その実施に際して必要となる手続きについて簡素化、合理化等の措置を講ずることにより中小企業者等の負担の軽減を図るよう努めなければならない。
4 市は、市内の経済循環を促進するため、予算の適切な執行及び公正な競争の確保に留意しつつ、市内において生産、製造及び加工される製品並びに提供されるサービス等(以下「地場産品等」という。)の利用に努めなければならない。
(中小企業者等の努力)
第5条 中小企業者等は、経済的又は社会的環境の変化に円滑に適応するため、自主的に経営基盤の強化、経営力の向上及び経営の革新(以下「経営基盤の強化等」という。)に努めるものとする。
2 中小企業者等は、従業員の能力の開発及び向上、将来を担う中核人材(事業上の様々な業務において中核を担う人材又は特殊な資格や専門性の高い就業経験を有する人材のことをいう。以下同じ。)の育成並びに蓄積された技術や技能の承継に努めるものとする。
3 中小企業者等は、雇用の安定、従業員の健康の増進、福利厚生の充実及び子育てや介護支援等に配慮した従業員の仕事と生活の調和(以下「ワーク・ライフ・バランス」という。)の実現に努めるものとする。
4 中小企業者等は、学生や障がい者等が就職に当たって行う就業の体験、教育機関が行う職業や就業に関する理解を深める活動等に協力するよう努めるものとする。
5 中小企業者等は、事業活動を行うに当たっては、地場産品等の利用に努めるものとする。
6 中小企業者等は、地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚し、地域社会と協働して、地域の発展に積極的に取り組むよう努めるものとする。
(中小企業団体の役割)
第6条 中小企業団体は、中小企業者等の経営基盤の強化等のための支援に積極的に取り組むよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第7条 大企業者は、地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚するとともに、事業活動を行うに当たっては、中小企業者等との連携及び協力に努めるものとする。
2 大企業者は、中小企業者等の振興が本市経済の活性化及び市民生活の向上に寄与することについての理解を深めるとともに、市や中小企業団体等が実施する中小企業者等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 大企業者は、市内の経済循環を促進するため、地場産品等の利用に努めるものとする。
(教育機関の役割)
第8条 教育機関は、学生、生徒及び児童(以下「学生等」という。)に対し、教育活動を通して勤労及び職業に対する意識の啓発を図るとともに、中小企業者等を知る機会の創出等による地域に対する誇りや愛着を醸成するための取り組みに協力するよう努めるものとする。
2 教育機関は、教育研究活動等を通じて中小企業者等との連携及び中小企業者等の事業の発展に協力するよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第9条 金融機関は、円滑な資金の供給や経営の相談の対応等を行い、中小企業者等の育成及び事業の持続的な発展を支援するよう努めるものとする。
(市民の理解及び協力)
第10条 市民は、中小企業者等の振興が本市経済の活性化及び市民生活の向上に寄与することについて理解を深めるよう努めるものとする。
2 市民は、市内の経済循環を促進するため、地場産品等の利用により、中小企業等の振興に協力するよう努めるものとする。
(施策の基本方針)
第11条 市は、中小企業者等の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項を基本として行うものとする。
(1) 経営基盤の強化
(2) 事業活動の拡大
(3) 人材の定着及び育成
(4) 創業及び事業承継等の促進
2 市は、前項の施策を効果的に実施するため、必要な調査、分析及び情報発信を行うものとする。
3 市は特に、第1項の施策の策定及び実施に当たり、小規模企業者が地域の特性を生かした事業活動を行い、就業機会を提供するなど、本市経済の安定に寄与していることに鑑み、経済的又は社会的環境の変化による影響が大きい小規模企業者が将来に渡って事業を円滑かつ着実に運営できるよう必要な配慮をするものとする。
(経営基盤の強化)
第12条 市は、前条第1項第1号の基本方針に基づき、次に掲げる施策及びその他必要な施策を実施するものとする。
(1) 中小企業団体が実施する中小企業者等における経営に関する相談や指導等の充実に関する取り組みを支援すること。
(2) 金融機関との連携及び協力のもと、中小企業者等における円滑な資金調達を支援すること。
(3) 新たな知的財産の創造、中小企業者等の所有する知的財産の保護及び活用に関する取り組みを支援すること。
(事業活動の拡大)
第13条 市は、第11条第1項第2号の基本方針に基づき、次に掲げる施策及びその他必要な施策を実施するものとする。
(1) 新製品又は新サービスを開発するための技術に関する研究開発の促進、新分野の進出に関する取り組みを支援すること。
(2) 取引や販路の拡大に関する取り組みを支援すること。
(3) 情報通信技術をはじめとした新技術の活用を支援すること。
(4) 産学官連携や農商工連携をはじめとした異業種又は異分野における相互の連携及び協力を図るための取り組みを支援すること。
(人材の定着及び育成)
第14条 市は、第11条第1項第3号の基本方針に基づき、次に掲げる施策及びその他必要な施策を実施するものとする。
(1) 学生等に対して勤労及び職業に対する意識の啓発を行うとともに、中小企業者等を知る機会の創出等による地域に対する誇りや愛着を醸成するための取り組みを推進すること。
(2) 若者をはじめとした次世代を担う優秀な人材の還流(UIJターン等による市外から市内への人の流れのことをいう。)及び定着を推進すること。
(3) 高齢者、女性、障がい者及びその他の多様な人材がその能力を発揮し、社会において一人ひとりの活躍が促進される取り組みを推進すること。
(4) 雇用の安定、従業員の健康の増進、福利厚生の充実及び子育てや介護支援等に配慮した従業員のワーク・ライフ・バランスに関する取り組みを支援すること。
(5) 従業員の能力の開発及び向上、将来を担う中核人材の育成並びに蓄積された技術や技能の承継を図るための取り組みを支援すること。
(創業及び事業承継等の促進)
第15条 市は、第11条第1項第4号の基本方針に基づき、次に掲げる施策及びその他必要な施策を実施するものとする。
(1) 創業に関する取り組みを支援すること。
(2) 第二創業、事業の転換及び事業承継に関する取り組みを支援すること。
(中小企業・小規模企業振興会議)
第16条 中小企業者等の振興に関し、次の事項について協議するため、白河市中小企業・小規模企業振興会議(以下「振興会議」という。)を置く。
(1) 中小企業者等の振興に関する事項
(2) その他市長が必要と認める事項
2 市は、振興会議の意見を参考にし、中小企業者等の振興に関する施策を実施するものとする。
3 振興会議は、委員20人以内で組織する。
4 委員は、中小企業者等の振興に携わる者のうちから、市長が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 前各項に定めるもののほか、振興会議の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(財政上の措置)
第17条 市は、中小企業者等の振興に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、令和2年4月1日から施行する。