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第六回「七分積金の活用を任された渋沢栄一」

明治5年5月、寛政の改革で設置された七分積金(しちぶつみきん)の運用などを行う町会所が廃止されると、戊辰戦争の戦費や新しい政策のために財政がひっ迫していた明治政府は、七分積金を政府の財源にしようとしました。
東京府知事の大久保一翁(おおくぼいちおう)はこの考えに反対し、江戸庶民が積み立ててきた七分積金は東京府民のために使うべきだと主張しました。そうして、七分積金の活用を渋沢栄一(しぶさわえいいち)に任せたのです。
大蔵大輔(おおくらたいふ)の井上馨(いのうえかおる)と部下の渋沢は、町会所の救貧事業を受け継ぐ「営繕会議所」という組織を作り、七分積金を活用しようとしました。営繕会議所はやがて、東京府内一般の営繕事業に手を広げていきます。
その後、営繕会議所は「会議所」と名称を変え、営繕事業だけでなく、建設・社会・教育など、さまざまな事業を行うことになります。
営繕会議所は明治11年に東京商法会議所、同16年に東京商工会、同24年に東京商業会議所、昭和3年に東京商工会議所と変わりますが、渋沢は明治11年から38年までの27年間、会頭を務めています。
この間渋沢は、七分積金をもとにした東京府内の道路・橋の修築、瓦斯燈(がすとう)の設置、商法講習所(後の一橋大学)の設立、東京府市庁舎・墓地の建設、養育院の創設など、多岐にわたる事業に深く関わりました。

※「東京府」は、昭和18年7月1日に「東京都」になりました。

大久保一翁(国立国会図書館ウェブサイトより)                                     井上馨(国立国会図書館ウェブサイトより)

 ▲大久保一翁(国立国会図書館ウェブサイトより)                 ▲井上馨(国立国会図書館ウェブサイトより)

文・中山義秀記念文学館 館長 植村美洋

広報しらかわ 令和3年(2021)6月号掲載

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