中山義秀文学賞作家・西條奈加さん講演
中山義秀顕彰会主催の文学講演会が9月4日(日曜日)、白河市の白河文化交流館コミネスで開催され、直木賞・中山義秀文学賞作家西條奈加さんが「時代小説と私」と題して講演をされました。
講演では、デビュー作『金春屋ゴメス』は現代キャラクターを江戸時代で活躍させるアイデアが浮かんだが、時代小説は素人だったので小説を書く舞台を作るまで1年半ぐらいかかった。時代小説の資料が増え、引っ越し好きだが、10年程引っ越しできない悩みがある。『涅槃の雪』は、為政者の側から天保の改革を真面目にシリアス系に書いて政治が庶民に与える影響を一番伝えたかった。エンタメ系の自分が賞をもらえるとは思っていなかったので、中山義秀文学賞受賞はただただ驚いたという以外なかった。『心淋し川』は、短編集にしたい構想があり、自分の作品にしては「大人びたところ」を目指して、オムニバス的物要素を秘めたものを一度書いてみたいと思い書かせてもらったが、『涅槃の雪』もそうだが自分の得意としているジャンルでないので全く自信がなかった。直木賞受賞後は、1年以上、思っていた以上に大変でつらい思い出しかなく、直木賞は他賞と比べ周知度が百倍以上、すごく大きな影響力を持っていて今まで受けたことのないいろんな出会いが来て、結構なストレスになった。現在、『バタン島漂流記』を連載で書いているが、和船についての知識がなくしんどい思いをしている。などとお話しいただきました。
また、質疑応答では、涅槃の雪の時代考証について、アイディアだけが先行し話が膨らむタイプなので、史実関係でエピソードが使えなくなったり史実の日にちにエピソードを合わせたなど非常に苦労した。歌人の西行とかが好きなので西行をファンタジー要素を入れて何時かは書いてみたいと目論んでいる。ことなどを答えられました。講演会後にはサイン会が行われました。
西條さんは、2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、2021年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞、著書にデビュー作『金春屋ゴメス』、『まるまるの毬』、『金春屋』・『善人長屋』シリーズ、近著に『六つの村を越えて髭をなびかせる者』などがあります。今年から中山義秀文学賞の最終選考委員を務めています。
講演会の様子 サイン会の様子
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メールでのお問い合わせはこちら- 2022年9月15日
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