「第31回中山義秀文学賞」受賞作品のお知らせ
令和7年9月28日(日)、一般公開形式による最終選考会が開催され、4名の選考委員による候補作品への論評・自由討論の後に採点を行った結果、同点により次の2作品が第31回中山義秀文学賞を同賞史上初となる同時受賞されました。
◆選考委員:伊東 潤 氏(作家)、木下 昌輝 氏(作家)、澤田 瞳子 氏(作家)、細谷 正充 氏(文芸評論家)※五十音順
受賞作品
『雪夢往来』(せつむおうらい)木内 昇(きうち のぼり)著 【新潮社】

受賞作あらすじ
「越後では家の二階を越えるほど雪が降る」塩沢から来た鈴木儀三治(牧之)の言葉を、江戸者たちは大法螺だと笑い飛ばした。雪国の暮しぶりと綺談を世に広めたい。儀三治の書いた原稿は人気戯作者・山東京伝の目に留まり、出板へと動き始める。しかし板元からの金銭要求、京伝をはじめとする仲介者の死去にたびたび見舞われ、原稿は師・京伝への対抗意識に燃える滝沢馬琴の手に渡る。熱心に改稿の助言を授けてくれる馬琴のもとで、ようやく世に出るかに思われたが――。
初稿から刊行まで、実に四十年を要した江戸のベストセラー『北越雪譜』の数奇な運命と虚々実々の江戸出板界を鮮やかに描きだす長編小説。

写真提供:新潮社
著者プロフィール
1967年、東京都生まれ。中央大学文学部卒業。
出版社勤務後、フリーのライター・編集者として活躍する一方、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。
2008年に『茗荷谷の猫』で早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2011年に『漂砂のうたう』で直木賞、2014年に『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞の三賞、2025年に『奇のくに風土記』で泉鏡花文学賞、『惣十郎浮世始末』で舟橋聖一文学賞を受賞。
他の作品に『化物蝋燭』『万波を翔る』『占』『剛心』『かたばみ』などがある。
『二月二十六日のサクリファイス』谷津 矢車(やつ やぐるま) 著 【PHP研究所】

受賞作あらすじ
二・二六事件の“真の犠牲(サクリファイス)”は誰だったのか――
石原莞爾とともに事件の捜査をすることになった憲兵隊員を通して軍や国家の“歪み”を描き出す、衝撃の長編歴史小説。
侍従武官長として天皇に近侍している本庄繁陸軍大将を義父に持ち、蹶起した青年将校ともつながっていた山口一太郎大尉。二・二六事件の重要容疑者である彼の調査を憲兵隊員・林逸平が任せられるも、なぜか戒厳司令部参謀・石原莞爾が協力すると言い出してきた。獄中でも、ストーブのある部屋での兵器の開発を許される山口を取り調べるも――。
正義とは何か、国家としての大義はどこにあるのかを鋭く突き付ける、著者渾身の勝負作!

写真提供:文藝春秋
著者プロフィール
1986年、東京都生まれ。駒澤大学文学部卒業。
2012年、『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。2013年に『洛中洛外図狂伝 狩野永徳』でデビュー。
2018年に『おもちゃ絵芳藤』で、第7回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞。
その他の著書に、『蔦屋』『奇説無惨絵条々』『絵ことば又兵衛』『北斗の邦へ翔べ』『ぼっけもん』『憧れ写楽』などがある。
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせは中山義秀記念文学館です。
〒969-0309 福島県白河市大信町屋沢田25
電話番号:0248-46-3614 ファックス番号:0248-46-3702
メールでのお問い合わせはこちら- 2025年12月3日
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