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施政方針

施政方針は、市政運営にあたり基本的な考え方や当初予算の概要、主な事業について述べたものです。

令和7年度施政方針

令和7年2月27日 白河市長   鈴木 和夫

はじめに

   令和7年3月市議会定例会の開会にあたり、新年度における市政運営について、所信の一端を申し上げます。

さて、世界は今、予測不能な混沌の時代を迎えています。
   国連憲章を守るべきロシアがウクライナに侵攻してから3年が経ち、中東はより一層混迷を深め、中国は台湾への軍事圧力を強めております。
   また、アメリカが自国ファースト主義を鮮明にし、さらには、欧州でも極右勢力が力を伸ばすなど、「法の支配」や「多国間協調」を前提とした戦後秩序が揺らぎ、国際情勢は緊迫の度を深めています。
   また、格差や不平等への不満を煽る「大衆扇動型」の政治が跋扈し、民主主義を標榜するアメリカや欧州でも対立と分断が深まる一方、ロシア、中国、北朝鮮など権威主義的国家が勢力を拡大していることに、大きな危惧の念を抱いております。
   特に、この3国に接する日本は、どのように向き合っていくのか、極めて大きな課題となっております。

   経済の面では、高度な情報処理によりビジネスや生活に大きな変革をもたらす生成AIや、「産業の米」と言われる半導体、さらにはIT社会を支えるデータセンターや100年に1度の変革を迎えている自動車産業が、世界経済を牽引しています。
   これまでも、自由貿易体制のもと、こうした成長産業が研究・開発や生産でしのぎを削り、国際競争力を高め、世界経済は大きく発展してきました。
   しかしながら、今、トランプ大統領は、関税を武器として、他国に圧力をかける保護主義的な姿勢を強めております。
   振り返れば、世界恐慌の折に、欧米諸国によるブロック経済政策が、長期の経済停滞を招き、それが第二次世界大戦の一因となったように、関税引上げは「諸刃の剣」であり、今後、各国が報復措置を講じれば、世界経済は勝者のいない不毛な貿易戦争に突入していくことを忘れてはなりません。

   一方、国内では、昨年秋の衆議院選挙で、与党が30年振りに過半数を割り込みました。
   少数与党となったことにより、自民・公明両党は、野党各党と丁寧な政策協議が必要となり、今国会においても、野党が提案する高校授業料の無償化や、いわゆる「103万円の壁」の引上げなどについて活発な議論が行われております。
   当然、合意形成に至るまでには多くの時間を要しますが、その過程が国民に見えるようになったことは、民主主義にとって望ましいことであります。
   しかしながら、野党が主張する個別政策の実現は、必ずしも社会全体の利益と一致するとは限らず、時に財政ポピュリズムに陥ることも考慮し、財源の裏付けや地方自治体への影響を明確に示す責任があると考えております。
   現に、イギリスにおいては、財源を伴わない大型減税を打ち出した結果、金融市場が大きく混乱したように、財政規律に対する信認が失われれば、国家運営に支障をきたすことになります。

   経済に目を転じると、大企業を中心に業績が堅調に推移し、名目GDPが初めて600兆円を超え、大幅な賃上げも実施されるなど、昨年あたりから潮目が変わってきております。
   しかしながら、物価高騰により実質賃金は伸び悩み、とりわけ、中小企業は、価格転嫁や人材確保に苦慮するなど、厳しい状況が続いています。
   また、11年間続いた異次元の金融緩和が見直され、利息の支払いも困難な中小企業が増える一方、大企業では未だ600兆円を超える内部留保があり、これが、必ずしも賃金や設備投資の増加に繋がっておらず、また、下請会社にも負担を強いている状況にあります。

   このため国は、中小企業の価格転嫁対策や資金繰り支援に加え、雇用・労働環境の改善やAI、半導体、GX分野への投資を促進し、コストカット型の経済から「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を図るとともに、防衛をはじめとする総合的な安全保障の強化や、少子化、防災といった課題に対応していくこととしております。
   また、地方創生については、これまでの産業振興や出産・子育て支援、移住促進などの取組みに加え、医療や福祉、教育、交通、買い物といった生活環境づくりにも重点を置くこととしております。

   これらを踏まえて編成された令和7年度当初予算案は、115兆5,000億円と、3年連続で110兆円を超える規模となりました。
   地方財政については、公務員の給与改定やデジタル化、さらには物価高への対応や防災・減災対策などにより、歳出が増加しますが、地方税が堅調なことに加え、地方交付税の総額も前年度を上回るなど、地方が必要とする一般財源は確保されました。

   しかしながら、税収が6年連続で過去最高を更新しているにもかかわらず、新規国債発行額は歳入総額の4分の1を超え、依然として財源不足を赤字国債で賄う状況が続いております。
   安易な国債発行は、将来世代への“ツケ回し”となります。
   日本の債務残高は既にGDPの2.5倍を超え、主要国のみならず、発展途上国と比較しても異常に高い水準にあり、また、この債務比率は、国力の全てを投入したあの太平洋戦争末期をも上回っていることを認識すべきであります。
   このことからも、早急にプライマリー・バランスを図るとともに、税制や社会保障をはじめとする歳出構造の在り方について、抜本的な議論を深めていく必要があります。

   また、「地方こそ成長の主役」という理念を持つ石破総理は、「政治の師」と仰ぐ田中角栄元総理のスローガンを引き合いに、「令和の日本列島改造」構想を打ち出し、地方に人が流れる仕組みをつくろうとしております。
   地方の衰退は、国家の存続に関わる重要な問題であり、過度な東京一極集中を是正し、地方の活性化に最優先で取り組むとした姿勢は高く評価できますが、その内容は、政府機関や本社機能の地方移転など、歴代内閣が取り組んできた施策を超えるものではありません。
   過去の政策を踏襲するだけで改善しないことは、この10年間を振り返れば明らかであり、地方の現状を肌感覚で知る石破総理には、若者や女性から選ばれる「楽しい地方」を実現するため、その職を賭すという強い覚悟で、実効性のある対策を講ずることを切に期待するところであります。

   次に、県の当初予算案につきましては、地方創生や復興関連経費に加え、激甚化・頻発化する災害への対応や長期化する物価高騰対策などを中心に、1兆2,800億円が計上されました。
   とりわけ、人口減少については、女性の転出超過が都道府県別でワースト5位となり、全体でも同様の結果となったことに内堀知事も強い危機感を示しており、首都圏の大学等と連携した県内企業の情報発信や、地方に根深く残る固定的な性別役割分担意識、いわゆる「アンコンシャス・バイアス」の解消など、若者や女性の視点を重視した事業に注力するとしています。
   また、振興局ごとにきめ細やかな対策を講じるための予算も計上されていることから、今後も県と連携し、首都圏との近接性を活かした移住・定住の促進や産業振興、さらにはインバウンド誘客などに取組み、本市が中心となり県南地域の魅力を高めてまいります。

本市の基本方針

   さて、今年は、昭和の改元から100年、終戦から80年という年にあたります。
   敗戦後の日本は、歴史上初めて外国軍の占領下に置かれ、辛酸を嘗めましたが、その後は、働き手の増加や革新的な技術開発、政治的安定などを背景に、驚異的な成長を遂げ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と表現されるまでに至りました。
   当時の日本は、大企業の社員などを中心とするホワイトカラーに、ブルーカラーや農業者、商店主も加わって分厚い中間層を形成し、「1億総中流社会」と呼ばれていました。
   しかしながら、バブルが崩壊し、冷戦後のグローバル化に伴い米国流の新自由主義を取り入れた結果、過剰な規制緩和や雇用の非正規化、所得税・法人税の最高税率の引き下げなどが行われ、富の偏在化が急速に進み、中間層は次第に衰退していきました。
   安定した社会や健全な民主主義の担い手となる中間層は、経済成長やイノベーションの原動力として重要な役割を果たすものであります。
   この広がり過ぎた格差を縮め、中間層を厚くするためにも、弱体化してきた財政の再配分機能を強化する必要があると思っております。
   また、ともすれば今は、SNSを介して偏った世論が形成されやすい状況にあることから、一定の経済基盤に加え、「寛容と中庸の精神」を持った中間層を増やしていくことや、個人と社会を結び付ける組織や機会を充実させることが重要になると考えています。

   このため市では、喜びや感動を分かち合える文化芸術やスポーツの振興を図るとともに、今後は、文化・スポーツ団体やNPO、町内会などに加え、多様な価値観に触れながら、自分らしく過ごせる「居場所」を充実させ、人と繋がる安心感のうえに、日本はもとより、世界のことも視野に入れて行動する人が生まれる土壌を整えてまいります。

   また、本市の人口は、長期にわたり減少することから、今後は「収縮する社会」を前提に、首都圏との近接性を活かした「転職なき移住」の推進や、生活の質を高めるデジタル化、さらには広域連携の強化や公共施設の統合、公共交通の充実などについて、議論を深めていく必要があります。
   とりわけ、少子化については、社会経済情勢や価値観の変化を捉えながら、長期的な視点で、賃上げや働き方、医療や教育、コミュニティなど、総合的な対策を講じる必要があることから、行政はもとより、企業や地域が一体となって、この問題と向き合わなければなりません。
   また、若者が残りたい、帰りたいと思う地域としていくため、やりがいのある雇用の創出やジェンダーギャップの解消に注力するとともに、起業・創業や文化芸術、スポーツ、まちづくりなど、あらゆる分野で挑戦する人を支援し、地域の活力を維持してまいります。

一般会計予算の概要

   次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。
   まず、歳入のうち市税については、賃上げや堅調な設備投資を背景に、個人市民税や固定資産税は増収となるため総額は過去最高を更新し、地方交付税については、市税の増収に伴い減額するものと見込んでおります。
   一方、人件費など義務的経費の増加や本格化する複合施設の整備に必要な財源は、財政調整基金や公共施設等整備基金を取り崩し、所要額を確保しました。
   次に、歳出については、「少子化対策」、「未来への投資」、「居場所づくり」を柱に、人口減少や高齢化対策、産業振興や地域の資源を活かした魅力あるまちづくり、教育環境や公共交通の充実などへ重点的に配分するとともに、物価上昇による物件費や人件費の増加を見込んだ結果、一般会計の総額は333億円となりました。

主要な事業

第1  「安全・安心」の分野

防災対策

   防災意識の高揚と災害対応能力の向上を図るため、県と共催で総合防災訓練を実施するとともに、防災ラジオやスマートフォンなどによる情報発信に努めてまいります。
   また、災害に強いまちづくりを進めるため、橋りょうの補修や貯水機能の低下した農業用ため池の堆積土砂の撤去を実施するとともに、倒壊等の危険が高い特定空き家については、解体費の補助や融資制度、さらには行政代執行も視野に入れ、早期の除却を行ってまいります。

消防

   引き続き、団員の確保に努めるとともに、ヘルメットや防火衣など消火活動の際に必要な装備品の支給や、消防車両の計画的な更新に加え、水道の口径が細く、消火栓の設置が困難な双石坊ノ入地区に防火水槽を整備してまいります。

交通安全

   引き続き、老朽化した道路側溝や側溝蓋の改修整備を行い、排水機能の改善を図るとともに安全で快適な道路空間を確保してまいります。

第2  「健康・福祉・医療」の分野

結婚・出産支援

   若者たちが仕事帰りに気軽に参加できるイベントを開催し、自然な流れで男女が出逢う機会を創出するとともに、引き続き、「良縁あわせ隊」による伴走型の支援や、新生活に必要な費用の補助などをとおし、結婚をサポートしてまいります。
   また、保険適用外の不妊治療費や、やむを得ず遠方の医療機関で出産する場合の交通費を助成するなど、子どもを授かりたいと願う夫婦を応援してまいります。

子育て支援

   「白河っ子すくすく応援クーポン」の対象品目や、疾病等により家庭における養育が困難となった場合に利用できる「子育て短期支援事業」を拡充し、保護者の負担軽減を図ってまいります。
   また、わかば保育園の「誰でも通園制度」や、各地域で実施している一時預かり保育を継続するとともに、保育士を確保するため、引き続き、新卒で民間保育園に就職する方へお祝い金を支給するなど、保育サービスを充実させてまいります。
   さらに、市内初の公立認定こども園として開園するため「おもてごう保育園」の移設工事に着手するとともに、民間事業者のノウハウ等を活かしながら、放課後児童クラブの質の向上を図るなど、安心して子どもを預けられる環境を整えてまいります。

保健・医療

   医師会等と連携し、新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策に万全を期すとともに、帯状疱疹の発症や重症化を防ぐため、新たに高齢者に対し予防接種費用を助成してまいります。
   また、健康寿命の延伸を図るため、ウォーキングの歩数や健診の受診等に応じ、商品と交換できるポイントを付与する「健康ポイント事業」を継続し、運動の習慣化に繋げるとともに、各種健診の受診率向上と、未受診者に対する受診勧奨に注力してまいります。

障がい福祉

   「しらかわ地域自立支援協議会」と連携し、適切なサービスの提供や医療費の給付に努めるとともに、生活に必要な補装具や日常生活用具などを支援してまいります。
   また、障がいのある子どもを持つ保護者の休息時間や就業機会を確保するため、「日中一時支援事業」を拡充してまいります。

高齢福祉

   身寄りのない高齢者が入退院や介護施設への入所手続きを円滑に進められるよう「終活準備応援事業」を実施するとともに、遠方の家族などと関係者が必要な情報を共有できるよう、オンラインによる相談体制を整えてまいります。
   また、認知症予防の効果が期待できる「脳の健康教室」の拡充や、認知症の方が行方不明となっても早期に発見・保護できる対策など、高齢者も安心して暮らすことができる環境を整えてまいります。
   さらに、「あったかサロン」など、地域における居場所を充実させ、介護予防やいきがいづくりを支援してまいります。

第3  「産業・雇用」の分野

産業の振興

   深刻な人材不足を補うために外国人を雇用する企業が増えていることから、企業向けの相談窓口を開設するとともに、外国人労働者が日本の生活に馴染むことができるようサポートするほか、市営住宅の空き部屋を活用した住環境の整備に取り組んでまいります。
   また、産業サポート白河や商工会議所、地域の金融機関などと連携し、新規創業や事業承継、さらにはDXなどを支援するとともに、事業の拡大や人材育成に取り組む小規模事業者を対象とする「ステップアップ補助金」を創設し、地域産業の底上げを図ってまいります。

企業誘致

   生産拠点の国内回帰が進んでいることから、「工業の森・新白河A-2工区」の早期造成を県に働きかけるとともに、展示会や企業訪問をとおし、引き続き、半導体関連やデータセンター、ロボット・医療関係など、成長産業の誘致に取り組んでまいります。

中心市街地の活性化

   まちなか居住を推進するため、民間事業者による共同住宅の整備に対し、費用の一部を助成するとともに、空き店舗への出店や事業承継を促すため、店舗と住宅部分を切り離すための改修費用等を助成してまいります。

農業の振興

   作業の効率化や省力化に繋がるスマート農業の活用や、高収益が期待される畑作経営における設備等の導入を支援するとともに、農業をビジネスにするうえで必要な知識などを学べる講座を開催し、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
   また、農業の担い手を確保していくため、就農希望者からの相談にきめ細やかに対応し、就農に関する情報や農業体験機会を提供するとともに、親元就農や第三者承継を支援してまいります。
   さらに、農地ごとに将来の耕作者などを明確にする「地域計画」がまとまることから、今後は更新作業を行いながら、計画の実現に向け、担い手への集積や農地の集約化を推進してまいります。

林業の振興

   「ふくしま森林再生事業」や「広葉樹林再生事業」を活用した森林整備を進めるとともに、長期にわたって手入れが行われていない民有林についても、適切な森林経営ができるよう支援体制を整えてまいります。
   また、南湖森林公園において「木工教室」を開催し、木の文化や木材利用の意義を学ぶ機会をつくってまいります。

観光の振興

   大河ドラマ「べらぼう」に、白河藩主・松平定信公が主要人物として登場していることから、撮影で使用した衣装や小道具などを展示するドラマ展や、パンフレットなどをとおして、その功績や居城地の本市を全国に発信し、観光誘客はもとより、郷土愛の醸成や地域の活性化などに繋げてまいります。
   また、福島空港と台湾を結ぶ定期チャーター便を利用した旅行商品に小峰城を含むツアーが追加されることから、台湾で開催される旅行博や物産展などをとおして、三史跡や狛犬、ラーメンなどに代表される本市の魅力をPRし、更なるインバウンドの誘客に取り組んでまいります。

第4  「教育・文化・生涯学習」の分野

教育環境の充実

   地域と学校が協力して子どもたちの体験や学習活動を支援する「地域学校協働活動」を拡充するとともに、登校はできても教室に入れない児童生徒を支援するため、専任の教員資格者を増員し、学校との繋がりを継続させる居場所を確保してまいります。
   また、老朽化が著しい白河第一小学校の改築に向け、基本設計と地質調査を進めてまいります。

読書環境の充実

   これまで1歳児を対象に実施してきた「ブックスタート事業」に加え、一般的に「読み聞かせの黄金期」と言われる3歳児に絵本を贈る「しらかわ子育てウェルカムブック事業」に取組み、読書や図書館利用の推進に努めてまいります。

文化芸術の振興

   風月の芸術祭で好評だった「アートだるま」の公募展を開催するとともに、音楽や演劇のアウトリーチ事業を実施し、子どもたちの感性やコミュニケーション能力を涵養してまいります。
   また、コミネスでは、落語や狂言といった古典芸能や一流の演奏家によるコンサートをはじめ、子ども向けのワークショップや人形劇、さらには街なか音楽会やマタニティコンサートなど、誰もが気軽に楽しむことのできる多彩な事業を実施してまいります。

文化財の保護・活用

   本市のシンボルである小峰城の史跡としての価値を高めるため、引き続き、清水門の復元工事を進めるとともに、石垣の補修やお堀の調査に取り組んでまいります。
   また、大河ドラマ「べらぼう」の放送により、定信公と関りの深い史跡や名所を巡る方が増えると見込まれることから、小峰城歴史館において定信公をテーマとする特別企画展を開催するとともに、定信公の築造の思いが受け継がれる南湖公園についても、その魅力を広めるイベントなどの開催に加え、訪れた方が快適に過ごせるよう園路や照明の整備を進めてまいります。

男女共同参画社会の実現

   子育て中の女性などを対象にした託児付きセミナーや、女性の採用や働き方に理解のある企業を対象としたバスツアーを実施するとともに、アンコンシャス・バイアスの解消に向けた講演会の開催などをとおし、男女がともに活躍できる社会にしていくための気運の醸成に努めてまいります。

スポーツの振興

   長年親しまれてきた市民プールの老朽化が著しいことから大規模なリニューアルを行うとともに、県南エリアで初めてとなるサッカー競技を中心とした多目的な人工芝グランドの整備に着手するなど、市民がスポーツに親しみ、楽しみながら参加・交流できる機会を創出してまいります。

第5  「都市基盤」の分野

歴史と文化を活かしたまちづくり

   城下町としての風情を活かしながら回遊性を高めていくため、昨年協定を締結した株式会社NOTEと連携し、街なかに点在する歴史的建造物の利活用を推進するとともに、その中心となる「大木家住宅」の改修に係る基本設計に着手してまいります。

空き家対策

   引き続き、所有者に対する啓発や相談機会の充実を図るとともに、子育て世帯や新婚世帯等に対し、住宅を新築するために空き家を解体する際の費用を助成するなど、既存ストックの活用と若い世代の定住を促進してまいります。
   また、廃校施設のうち、旧信夫二小と旧大屋小は、活用方針が決定したことから、早期に利用開始できるよう事業者を支援するとともに、残る旧五箇中学校についても、有効な活用策を検討してまいります。

景観

   小学生を対象とした景観学習や、協定に基づいた建物の外観修景支援を実施するとともに、町内会と連携しながら、旧奥州街道やこみねふれあい通り沿線に、景観や環境に配慮したゴミ集積ボックスを設置するなど、引き続き、市民協働による景観まちづくりを推進してまいります。

道路網の整備

   生活道路である「金売吉次三輪台線」や、地域間を結ぶ「中寺栃本線」などの整備を進めてまいります。
   また、白河駅から小峰通りや小南湖を経由して国道294号白河バイパスに至る「県道白河駅停車場線」について、県と連携し、早期の完了を目指してまいります。

都市公園

   長寿命化計画に基づき、複合遊具の更新やトイレの修繕を進めるとともに、立地適正化計画において「街なか居住区域」としている白河駅及び新白河駅周辺への公園整備を進め、子どもや地域住民が安全で快適に過ごせる憩いの空間を確保してまいります。

公共下水道及び農業集落排水

   汚水処理施設内の設備更新や維持管理に加え、下水管路内の調査やマンホールの段差解消などを進め、下水道施設の事故防止を未然に図ってまいります。

水道事業

   久田野配水場の改築を進めるとともに、老朽化した水道管の更新を行ってまいります。
   また、水道を取り巻く環境の変化に対応し、安定的な経営基盤の強化を図るため、事業の共同発注や資機材リストの共有化など、西郷村との連携を進めてまいります。

公共交通

   これまでの「定額タクシー」の検証に加え、新たに実施する「定率タクシー」の実証実験などをとおし、利用者の実態や需要を把握するとともに、市内に点在する公共交通不便地域の解消を図ってまいります。

第6  「コミュニティ・環境」の分野

複合施設の整備

   立体駐車場を仮供用し、施設本体工事に着手するとともに、学びや交流をとおして幅広い世代が緩やかに繋がることができるよう、施設設置条例の制定や施設愛称ロゴマークの作成など、開館に向けた準備を進めてまいります。

地域コミュニティの強化

   町内会の活動拠点となる集会所を計画的に整備するとともに、地域の自主的な活動を支援する「地域づくり活性化支援事業」や「地域の底力再生事業」、さらには「“結”支援事業」などをとおし、住民同士の結び付きを深めてまいります。
   また、高校生を中心とした若者が気軽に集い、地域と交流しながら、「やりたいこと」や「関心があること」を探求できるよう、引き続き、「コミュニティ・スペース・エマノン」の活動を支援してまいります。

移住・定住の促進

   ユーチューブなどを活用し、本市の魅力を「ヒト・コト・モノ」の旬な話題をとおして発信するとともに、移住者がスムーズに地域に溶け込むことができるよう、移住後のコミュニティ形成を支援してまいります。
   また、「地域おこし協力隊」の受入れを進めるとともに、その活動をサポートし、地域への定住・定着を促してまいります。

環境保全対策

   温室効果ガスの排出量を削減していくため、公共施設の照明をLEDに更新するとともに、自家消費型太陽光発電や蓄電池を導入してまいります。
   また、環境負荷の低減を図るためEV公用車のシェアリングや、食品ロスに関心のある店舗と消費者を繋ぐマッチングサービスの利用拡大を図ってまいります。

行財政運営

財政の状況

   急速に進む少子高齢化や物価高騰により、社会保障費や物件費が増加し、今後は、利払い費の負担も大きくなることから、より厳しくなるものと考えております。
   また、「103万円の壁」の引上げは、地方の歳入に及ぼす影響が大きいことから、国会の動向を注視するとともに、本市においては、複合施設の整備に相当な財源を要することから、今後も、必要性や優先度、緊急性など様々な視点で事業を選別し、健全財政の維持に努めてまいります。

組織の見直し

   複合施設の開館を見据え、生涯学習事業や健康増進事業などを一体的に行っていくため、「生涯学習スポーツ課」及び「公民館」を教育委員会事務局から市長公室に移管します。
   また、行政手続きのオンライン化やキャッシュレス化を進め、市民の利便性を向上させるとともに、組織の在り方も含めデジタル技術を活用した行政運営の効率化を検討していくため、「情報政策課」を「行政経営課」と改め、行政改革の推進体制を強化してまいります。

広報広聴

   市民が時間を問わず必要な情報を取得できるよう、ホームページや公式LINEに対話形式で質問に対応できるチャットボットを導入するとともに、引き続き、広報紙や各種SNSをとおし、ニーズを捉えた情報の発信に努めてまいります。
   また、「市長への手紙」や各種事業説明会など、あらゆる機会をとおして市民の意見や提案を拝聴し、施策に活かしてまいります。

おわりに

   今、多くの地方自治体では、人口減少や高齢化が深刻化しており、如何にして、女性や若者が住みたい、戻ってきたいと思える「まち」としていくかが問われております。
   そのためには、社会情勢や価値観の変化を捉え、それらに柔軟かつ積極的に対応することが大事であります。
   進化論で有名なダーウィンは、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるわけでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」という言葉を残しました。
   将来にわたり、誰もが心地よいと感じる「まち」を実現するには、普遍的なものは守りつつ、専ら「経済的な豊かさ」を基準とする価値観から、感動や共感など「心の豊かさ」も大切にする社会へと切り替えるという気概で、人口が減っても 1 人ひとりが Well-beingを実感できる地域としていくことが重要となります。
   このことからも、歴史や文化、自然、産業など、足元の資源を活かす内発的発展を基本に、今後も市民の誇りや郷土愛を高め、例え小さくても白河らしく光り輝くバランスの取れたまちづくりを進めてまいりますので、議員各位並びに市民の皆様にも、より一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針の表明といたします。

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