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施政方針

施政方針は、市政運営にあたり基本的な考え方や当初予算の概要、主な事業について述べたものです。

令和5年度施政方針

令和5年2月28日 白河市長 鈴木和夫

はじめに

 令和5年3月市議会定例会の開会に当たり、新年度における市政運営について、所信の一端を申し上げます。 

 この3年間、猛威を振るった新型コロナウイルスについて、政府は、5月から感染症法上の分類をインフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決定しました。しかし、毒性が消える訳ではなく、今後は、基本的な感染対策を講じながら、ウイルスと共存する社会になっていくものと考えています。

 また、世界に目を転じると、ロシアがウクライナを侵略した日から1年が経過しました。世界の平和を守るべき立場にある国連安全保障理事会の常任理事国が、自ら国際憲章に違反し、指導者の歪んだ歴史観のもと、国際秩序を破壊した暴挙に、強い怒りを覚えるものであります。
 未だ終結する見通しのないこの戦争で、ロシアは卑怯にも、石油や天然ガスに加え穀物を武器として利用していることから、原材料価格が高騰し、世界経済に深刻な影響を及ぼしています。
 そこに、欧米との金利差等もあって円安が加速したことにより、国内でも物価が急騰し、家計や企業に大きなダメージを与えています。

 このため、国は12月に、国民生活と企業活動を守るための総合経済対策を盛り込んだ補正予算を編成するとともに、ロシアによる軍事侵攻や台湾をめぐる緊張、中国や北朝鮮のミサイルの高度化など、地政学的なリスクが高まっていることから、外交や防衛政策の指針となる新たな「国家安全保障戦略」等を策定しました。
 これらを踏まえて編成された令和5年度当初予算案は、防衛力の強化をはじめ、子ども政策やデジタル田園都市国家構想などに重点が置かれ、114兆円を超えて過去最大規模となりました。
 とりわけ、地方財政については、安定的な税収が見込まれ、根幹となる地方交付税も微増となり、地方が必要とする一般財源総額が確保されたことにひとまず安堵しております。
 もとより、防衛は国家の最重要課題でありますが、それは防衛力のみならず、人的・文化的・経済的な交流を含めた総合的対策で実現すべきものであります。 
 そのためには、粘り強い外交はもとより、サプライチェーンや食料安全保障を見直すことに加え、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」をとおして中間層を厚くし、国家としての安定性を確保することが重要であると考えております。

 一方、新年度当初予算案における新規国債発行額は、歳入全体の3割を占め、うち8割を赤字国債に依存するという異常な状況にあります。
 大蔵官僚時代に、戦時下の軍事費膨張に伴う国債発行により、財政破綻を経験した大平正芳元首相は、財政規律の重要性を誰よりも認識していましたが、オイルショックによる急激な物価高騰を抑えるために、やむなく赤字国債を発行することとなった際、「万死に値する」と、苦渋の決断をされました。
 日本の国債残高は、GDPの2倍を超え、先進国の中でも突出し、先行き財政破綻を懸念する声もあることから、早急に基礎的財政収支の均衡を図るべきであると考えております。

 次に、県の当初予算案につきましては、次の感染症対策や移住促進のための体制強化、さらには4月に設立される「福島国際研究教育機構」との連携を含めた復興・創生や原油価格・物価高騰などに対応するため、1兆3千億円余が計上されました。
 中でも、移住については、福島県がテレワークで仕事をすることができる良好な環境を備えていることから、担当課を新設し、都市部の企業に強くPRしていくこととされています。
 内堀知事は、県南地域を県内でも最も可能性を秘めていると高く評価し、既に「テレワークタウンしらかわ」に取り組んでいることから、今後も、県と連携し、二地域居住や移住・定住の促進、さらにはDXやGXなどへの対策を強化し、圏域としての魅力を高めてまいります。

本市の基本方針

 私は、7月末をもって、4期目の任期満了を迎えます。
 この間を振り返ると、新市の一体感の醸成や危機的状況にあった財政の健全化、さらには東日本大震災からの復旧・復興や地域産業の底上げ、そして文化や芸術の振興など、未来への種蒔きを念頭に市政運営にあたってまいりました。
 この間、一貫して柱に据えてきたのは、歴史や文化、自然、産業など、足元にある資源を磨き、これを活かす内発的発展であります。
 また、令和元年秋の台風19号の際は、農地災害を優先した復旧を進め、コロナ禍では、集団接種を基本とした「白河方式」によるワクチン接種を実施するとともに、本市の状況を直接国に伝え、必要なワクチンの確保に全力をあげるなど、市民の安心を最優先に対応してまいりました。

 こうした中、昨年は、夏の甲子園で一躍脚光を浴びた白河関跡をはじめ、伝統工法による石垣修復を終えた小峰城や、より魅力を増した南湖公園にも多くの来訪者がありました。
 また、県が新産業の一つとして力を入れている製薬会社の立地が決まり、小峰城と並び復興のシンボルでもある国道294号白河バイパスも開通するなど、これまでの取組みが着実に実を結んできていると感じています。

 しかしながら、全国的な問題とは言え、人口減少に歯止めがかからず、表郷と大信の両地域が過疎指定を受けることとなりました。
 改めて、その原因を分析するとともに、東地域も含めた3地域の地域活性化協議会と議論を重ねて策定した、それぞれの「地域振興計画」に基づき、適切な対応策を講じてまいりたいと考えています。
 今般のコロナ禍は、疫病や地震、水害など大都市が抱えるリスクを顕在化させる一方、若い世代の働き方や価値観の変化に拍車をかける契機となり、そこに、テレワークなど場所を選ばない働き方が浸透したこともあり、生活のゆとりや充実感を求め、地方移住への関心が高まりつつあります。
 また、世界的な政治・経済の混乱を背景に、食料危機や半導体の供給不足が生じ、食料自給率の向上や経済の安全保障の重要性が再認識されていることから、長い目で見れば、「地方分散」は本格化していくものと考えています。

 古来より、日本には「足るを知る」という言葉があります。貧富の差が拡大し、地球環境に過度な負担を与えてきた経済優先の活動に対する疑念が生じている今、真に豊かな生活とは何か、幸福とは何かを考えるにあたり、この言葉を思い返す必要があると感じています。

 こうした意味で、これまで何度も叫ばれてきた「地方が主役」の時代が、まさにこれから始まるものと思います。
 豊かな自然に恵まれ、食料生産の根幹を支える田園が広がる地方は、それぞれの個性を活かしながら、そこで暮らすことの豊かさを実感できる地域づくりを進めていくことが、強く求められています。
 幸い本市は、農村と都市的空間のバランスが良く、首都圏へのアクセスにも優れ、歴史や文化の蓄積もあります。
 その恵まれた条件を活かしながら、日々の暮らしの中にある小さくても確かな「幸せ」を実感できるよう、「安定した雇用の創出」や「女性や若者の多様な働き方と自分らしいライフスタイルの実現」、さらには「豊かな感性や創造力を育む文化・芸術の振興と教育の充実」などに力を入れてまいります。
 また、「転職なき移住」の促進に加え、女性も男性も安心して仕事と子育てを両立できる環境づくりや地域全体でこれを支える気運の醸成、さらにはジェンダーギャップの解消などにより、人口減少のスピードを緩やかにし、地域の活力を維持してまいります。

一般会計予算の概要

 次に、一般会計当初予算案の概要について申し上げます。
 まず、歳入のうち市税については、市内企業の業績が伸び悩んでいることなどから法人市民税が減収となる一方、個人市民税や固定資産税の償却資産の伸びが堅調であることから、全体では前年度より増収になると見込んでおります。また地方交付税についても、原資となる国税が伸びる見通しであることから増額を見込んでいます。
 次に、歳出については、「私らしく、あなたらしく~身近な幸せが実感できるまちづくり~」をテーマに、子育て支援や産業振興、さらには移住・定住の促進や高齢者支援、地域の魅力向上、DXやGXの推進などへ重点的に配分するとともに、物価高騰などにより収支差が膨らんだことから、財政調整基金などを前年度より多く取り崩した結果、一般会計総額は291億5千万円となりました。

主要な事業

第1 「安全・安心」の分野

新型コロナウイルス感染症

 感染症法の位置付けが変更となることから、今後、国から示されるワクチン接種体制や感染予防対策の方針を踏まえ、その対応に万全を期してまいります。

防災対策

 集中豪雨等への備えとして、洪水・土砂災害の被害想定エリアをスマートフォンで確認できる「地域情報マップ」の周知を図ってまいります。
 また、災害に強いまちづくりを進めるため、橋りょうやトンネルの補修のほか、河川の護岸整備や農業用ため池などの堆積土砂の撤去を促進するとともに、大規模盛土造成地の地盤調査を行ってまいります。

消防

 引き続き、消防団員の確保に取り組むとともに、消火活動の強化と安全を確保するため、防火衣などの配備や消防車両等の計画的な更新を進めてまいります。

交通安全

 「緊急自然災害防止対策計画」に基づき、道路側溝の改修整備を行い、排水機能の改善を図るとともに安全な道路空間を確保してまいります。

第2 「健康・福祉・医療」の分野

出産・子育て支援

 すくすく応援クーポン券に加え、低所得の妊婦に対する初回産科受診料の助成や、妊娠・出産時の応援金、さらには小学校入学時のお祝い金の支給や、学校給食における食材価格上昇分の市負担など、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るとともに、妊娠期から子育て期まで一貫して相談に応じることができる体制を整えてまいります。
 また、おもてごう保育園を表郷幼稚園の敷地内に移設し、認定こども園として整備するための基本設計を実施するとともに、東地域における子育て広場の開設や、放課後児童クラブで過ごす時間をより有意義なものとするための支援など、子育て環境の充実を図ってまいります。
 さらに、ヤングケアラーや、家事や育児等に不安を抱える妊産婦がいる家庭に対し、家事や育児の訪問支援を行ってまいります。
 また、結婚を支援するため、企業や団体の交流イベントなどを開催し、出会いの機会を創出するとともに、専門員を配置した相談窓口の開設や世話焼き人による「良縁あわせ隊」を導入し、希望者同士のマッチングや交際から結婚までのアドバイスなど、伴走型の支援を行ってまいります。

保健・医療

 ウォーキングの歩数や健診の受診等に応じ、商品と交換できるポイントを付与する「健康ポイント事業」を継続するとともに、成人の歯周病健診や血糖値を見える化した「血糖チェックで健康づくり事業」を開始し、市民の健康づくりを支援してまいります。
 また、若年がん患者の在宅ターミナルケアへの助成や、がん治療に伴う外見上の変化をサポートするアピアランスケア事業なども行ってまいります。

障がい福祉

 「しらかわ地域自立支援協議会」と連携し、適切なサービスや医療給付の提供に努めるとともに、より実態に即した支援を行うため、障がいを抱える方の現状や課題、ニーズを反映した「障がい者計画」等を策定してまいります。

高齢者福祉

 「高齢者サロン」や「らく楽健康体操」など、介護予防対策を継続するとともに、認知症の方やその家族を地域住民などが一体となって支えていく「しらかわチームオレンジ」の取組みを広げてまいります。
 また、身寄りのない高齢者も安心して暮らすことのできるよう、賃貸住宅への入居や高齢者施設への入所などを支援してまいります。

第3 「産業・雇用」の分野

産業の振興

 労働力を確保していくため、新規学卒者の地元定着や市外転出者等のUIJターンを促進するとともに、商工会議所や各商工会、さらには産業サポート白河と連携し、中小企業や小規模事業者のDXへの取組みを支援してまいります。
 また、ラ・クリエーションプラスへのIT関連企業の誘致や、コワーキングスペースの利用促進に取り組むとともに、国や県などの支援制度を検索できるシステムを導入し、企業の助成金活用をサポートしてまいります。
 さらに、コミュニティビジネスなどに関心を持つ人材の発掘・育成や、就職に不安のある女性などを対象としたセミナーの開催、さらには託児付き就労相談を継続し、若者や女性が活躍できる環境を整えてまいります。

企業誘致

 ニプロファーマ株式会社の用地造成工事にあわせ、工業用水及び上水道管の敷設や市道整備を進めてまいります。また、未造成用地についても、県と連携し、ロボットや医療、素材、ICT関連などの成長産業に加え、これに関連する研究開発機関を視野に入れた誘致に取り組んでまいります。

中心市街地の活性化

 街なかでの創業を希望する事業者に対し、空き店舗情報に加え、気軽に出店できる機会や場所を提供するなど、新たなチャレンジを支援してまいります。

農業の振興

 就農に関する情報提供や農業体験の実施に加え、就農希望者からの相談などにきめ細やかに対応することで、新たな担い手の確保に努めてまいります。
 また、営農の効率化や省力化を図るスマート農業については、機器の導入に対する支援を継続するとともに、地域の特性や経営面を含めた最適な活用方法の可能性を探ってまいります。
 さらに、環境へ配慮した農業の推進やブランド性のある農作物の付加価値を高めるとともに、農業者の経営力を高めるための講座の実施など、経営基盤の強化を支援してまいります。
 また、耕作放棄地の拡大を防ぐなど、持続的な地域農業の確立に向けて、地域の関係者と連携しながら、目指すべき農地利用の姿を明確化する「地域計画」の策定を進めてまいります。

林業の振興

 「ふくしま森林再生事業」や「広葉樹林再生事業」を実施するなど、森林環境の整備に取り組んでまいります。
 また、森林の多面的機能を維持増進していくため、県産材の利活用を促進するとともに、里山マップの作成や里山を整備する団体への助成を行ってまいります。

観光の振興

 白河駅前にオープンする「しらかわ観光ステーション」を拠点に、歴史と文化の息づく白河の魅力を発信し、市内への滞在や回遊を促してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の緩和に伴い、インバウンド観光に回復の兆しが見えてきていることから、那須町や会津地域と連携し、首都圏や東南アジアに向け、当地域の観光スポットや伝統工芸品、さらには日本酒などの魅力を積極的に発信してまいります。

第4 「教育・文化・生涯学習」の分野

教育環境の充実

 GIGAスクール構想に基づき導入したタブレット端末を、より有効に活用するため、電子黒板の設置やICT支援員の配置を進めるとともに、学校図書館の蔵書充実に取り組み、読書力を基礎とした学力の向上に努めてまいります。
 また、校舎など一部供用を開始した白河第二中学校については、テニスコートなどの外構工事を行い、全ての工事の完成を目指してまいります。

文化芸術の振興

 芸術家と交流しながら制作にも参加できるプログラムを実施し、アートを身近に感じながら、アートに対する理解と共感を深める機会を創出してまいります。
 また、コミネスでは、一流ピアニストによるコンサートや本格的な歌劇、お笑いライブなど、多彩な公演を開催するとともに、子ども向けのダンスステージやバリアフリー演劇、マタニティコンサートなど、様々な方が楽しめる舞台芸術の鑑賞機会を設けてまいります。

文化財の保護・活用

 小峰城の価値をさらに高め、地域活性化やまちづくりに活かしていくため、城内でも最大規模を誇った清水門の復元工事に着手するとともに、小峰城丘陵地東部の公有化を図り、計画的に園路等を整備してまいります。
 また、今年は、行田市及び桑名市と、友好都市となって25周年であり、そのきっかけとなった江戸時代の「三方領地替え」から200年の節目であることから、各藩主に関係する歴史資料などを一堂に公開する合同巡回展を開催してまいります。

読書環境の充実

 より多くの市民が図書を身近に利用できるよう、移動図書館「ゆるりぶ」の定期運行によるアウトリーチ事業に着手してまいります。

男女共同参画社会の推進

 性別に関係なく活躍できる社会の実現を目指し、ワークライフバランスや、あらゆる場面における性別役割分担意識の払拭などの重要性を市民と共有していくため、セミナーやワークショップなどを開催してまいります。

スポーツの振興

 各種スポーツ教室や市民総合体育大会をとおして、市民が広くスポーツに親しむことができる機会を創出してまいります。
 また、スポーツには、立場や年齢の違う多様な人々を繋げる力や、外部から人を呼び込む力があることから、総合型地域スポーツクラブを中心に、魅力ある地域づくりを推進してまいります。

第5 「都市基盤」の分野

歴史と文化を活かしたまちづくり

 勧工場跡地と旧脇本陣蔵座敷を魅力ある空間として整備するため、地域住民の意を十分に汲みながら実施設計を策定してまいります。

空き家対策

 国が管理不全空き家に対する固定資産税の住宅用地特例の解除など、より踏み込んだ対策を打ち出しております。
 市としても、実情に即した効果的な対策を実施するため、所有者に対する啓発や相談体制の充実を図るとともに、危険な空き家の適正な管理について必要な措置を講じてまいります。

景観

 歴史的・文化的資源や豊かな自然など、優れた景観を守り、新たに創造していくため、子どもたちの景観に対する意識の醸成を図るとともに、住民との協働による景観まちづくりを推進してまいります。

道路網の整備

 県と連携し、国道294号白河バイパスと中心市街地を連絡する「県道白河駅停車場線」について、早期の完了を目指してまいります。
 また、生活道路である「関辺番沢線」や、地域間を連絡する「中寺栃本線」など、身近な道路について計画的に整備を進めてまいります。

都市公園

 公園利用者が安全かつ快適に過ごすことができるよう、トイレや四阿などの修繕や更新を進めてまいります。
 また、「立地適正化計画」に基づき、新白河地区への居住誘導を図るため、都市環境の向上と良好な都市景観の形成、さらには地域住民の健康づくりに資する公園の整備に取り組んでまいります。

公共下水道

 鹿島地区及び金勝寺地区を整備し、令和5年度内に未普及地域の解消を図るとともに、都市環境センターの汚水処理施設の更新を進めてまいります。

農業集落排水

 引き続き、番沢地区及び皮籠地区の汚水処理施設の更新に取り組むとともに、新たに小田川地区について実施設計に着手してまいります。

水道事業

 久田野配水池更新に伴う送配水管及び管理用道路の整備を進めるとともに、「防災・減災・国土強靭化のための5か年加速化対策」に基づき、川田取水場の浸水災害対策に取り組み、水の安定供給を図ってまいります。
 また、AIを活用した水道管路の劣化度調査を実施し、計画的な管路更新や更新費用の最適化に取り組んでまいります。

公共交通

 循環バス「こみねっと」の利便性を向上させるため、新たに真舟地区や国道294号白河バイパスを経由する西循環ルートの運行を開始してまいります。
 また、大信地域で実施していた予約型乗合タクシーの実証実験を本格運行に移行するとともに、高齢者や障がい者を対象とするバス・タクシーの運賃助成について、市外でも乗降できるよう要件の緩和を図ってまいります。

第6 「コミュニティ・環境」の分野

複合施設の整備

 基本設計を取りまとめたことから、実施設計及び管理運営計画の策定に着手してまいります。

地域コミュニティの強化

 地域の自発的な活動や、自主防災組織の結成を支援するとともに、共同作業によりU字溝の設置などを行う「“結”支援事業」を実施してまいります。

移住・定住の促進

 表郷地区に新たな「お試し住宅」を整備するとともに、インフルエンサーを招聘した白河の魅力発信や市外から転入する世帯の住宅取得等に対する支援を継続してまいります。
 また、2月に開設したオンラインサロン「ときたま」などをとおし、移住者が溶け込みやすく、気軽にコミュニティを形成できるよう支援してまいります。

環境保全対策

 商店や生産者と消費者を結び付けて食品ロスの削減を図るマッチングサービスを県内で初めて実施するとともに、EVの公用車を市民や観光客に利用してもらうシェアリング事業や自動車から自転車への転換を促す快適な自転車空間の整備に取り組んでまいります。
 また、公共施設にLED照明や太陽光パネルを導入するとともに、昨年11月に決定したエコ・スローガンの活用や、親子で楽しめる「環境フォーラム」をとおして、環境に対する意識を高め、市民や企業と行政が一体となって脱炭素に取り組む気運を醸成してまいります。

行財政運営

財政の状況

 市税が平成30年度以降、毎年90億円を超え、地方交付税も安定的に推移するなど、一定の財源が確保できていることに加え、国・県支出金の積極的な活用や債務の繰上償還などにより、経常収支比率や実質公債費比率が改善し、財政の弾力性が高まっております。
 一方、高齢化による社会保障費や老朽化する公共施設の維持経費に加え、物価高騰による負担増、さらには複合施設の整備に相当程度の財源を要することから、事業の選別を行うとともに、細心の注意を払いつつ、財政運営に努めてまいります。

組織の見直し

 昨今の若者を中心とした地方移住に対する意識の変化を捉え、本市の地理的優位性や交通の利便性などを最大限に活かした移住・定住施策を推進していくための係を新設いたします。

デジタル化の推進

 マイナンバーカードの普及のため、公共施設や商業施設でのオンライン申請を導入するとともに、高齢者世帯等への出張申請受付を行ってまいります。
 また、子育てや介護などで市役所に足を運べない市民に対し、予約型オンライン相談を導入することにより、場所や時間の制約のない行政サービスを提供してまいります。
 さらに、各種申請手続きのオンライン化を進めるとともに、多くの市民がデジタル化のメリットを享受できるよう、高齢者を対象としたスマートフォン教室を継続してまいります。

広報広聴

 引き続き、広報紙やLINEなど多様なツールを活用し、市民が知りたい情報を迅速かつ効果的に発信するとともに、「市長への手紙」などを通して市民の意見や提案を拝聴し、政策の立案に活かしてまいります。

おわりに

 この150年余を振り返ると、大きな転換点が2回ありました。
 近代国家の出発点となった「明治維新」と、民主主義国家として新たな道を歩み始める起点となった「敗戦」です。
 奇しくも「明治維新」から「敗戦」までが77年であり、「敗戦」から「現在」に至るまでの期間と同じです。
 現在、日本は、国際環境の大きな変化に加え、人口減少や格差、貧困、デジタル化、さらには疫病や頻発する災害など、多くの困難な課題に直面しており、まさに時代の転換期を迎えています。
 かつて、東洋経済新報社の記者として、戦前から「小日本主義」を提唱し、対外膨張政策を批判するとともに、内需振興や地方自治の重要性を強く訴えた石橋湛山元首相は、国中が敗戦に打ちひしがれ、絶望する中にあって「更生日本の前途は洋々たり」と述べました。
 これは、日本人の底力や能力を信じての言葉であろうと思います。
 私も、日本人の勤勉性や柔軟性、さらには寛容性をもって、強い意志で課題と向き合えば、どんな難局も乗り越えられると信じています。
 今後も、前例や既成概念に捉われることなく、進取の精神で白河の明るい未来を切り拓いていく所存でありますので、議員各位並びに市民の皆様の、より一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針の表明といたします。

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