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施政方針

施政方針は、市政運営にあたり基本的な考え方や当初予算の概要、主な事業について述べたものです。

令和6年度施政方針

令和6年2月28日 白河市長 鈴木和夫

はじめに

 令和6年3月市議会定例会の開会に当たり、新年度における市政運営について、所信の一端を申し上げます。 

 健やかな新年を願う元日の夕方、能登半島で最大震度7の巨大な地震が発生しました。木造住宅の多さや半島であること、加えて、過疎化や高齢化等の要因もあり、多くの犠牲者を伴う甚大な被害となりました。
 私は、東日本大震災の経験から翌日には懇意にしている加賀市長に連絡し、必要な物資を確認の上、西白河郡の首長の協力を得て、保存食やブルーシートなどを送りました。
 今回の災害でも、水道や電気に加え、道路はもちろんのこと水路や空路の整備、そして、災害に対する心構えの必要性を改めて痛感したところであります。

 さて、世界は今、大きな変動期にあります。
 ウクライナ戦争で留意すべきは、世界の秩序を守る国連の常任理事国であるロシア自らが、主権国家を堂々と侵犯し、力による領土拡大を既成事実化していることにあります。
 また、歴史に翻弄されてきた中東では、イスラエルとパレスチナの衝突が拡大し、法による平和を目指してきた戦後の秩序が大きく揺れ動いています。
 さらに、隣国の中国や北朝鮮などの権威主義国が勢力を強める一方、民主主義の盟主たるアメリカでは社会の分断が進むなど、民主主義の旗色が悪くなってきていることに、大きな危惧の念を持っております。

 経済に目を転じれば、世界的なインフレはピークを過ぎましたが、依然として高い水準にあり、また、世界第2位の経済大国である中国も不動産市場の不振などから成長が鈍化しています。
 さらに、高騰するエネルギーにまつわる地政学的な背景から、石油やガスを自給できるアメリカ以外の先進国では景気が減速するなど、産油地域が関わる二つの戦争が長引けば、物価高と景気低迷が同時に進む、いわゆるスタグフレーションに陥ることも懸念されています。

 一方、国内経済は、研究開発投資や生産性の低さに加え、円安の影響もあり、GDPにおいてはドイツの後塵を拝することになりました。また、実体経済を見ると、大手企業を中心に好決算が相次ぎ、株高やインバウンド需要の増加といった明るい材料はあるものの、物価高騰に伴う実質賃金の減少や個人消費の伸び悩みなど、景気回復は足踏み状態にあります。
 とりわけ、人手不足が深刻な中小企業では、人材を確保しようにも価格転嫁が難しいこともあり、賃上げに苦慮し、また、必要な設備投資を躊躇している状況にあります。
 さらに、出生数は、過去最少であった一昨年を下回り、非正規雇用の増加や未婚・晩婚化、そして将来に対する不安などにより少子化が一段と進行し、日本は今、安定した社会保障制度や活発な経済活動を維持できるかどうかの瀬戸際にあります。

 このため国は、賃上げや定額減税、低所得者への給付などの物価高騰対策に加え、水素や半導体など戦略分野への投資促進などを盛り込んだ経済対策を講ずるとともに、四半世紀振りに「食料・農業・農村基本法」を改正し、担い手の確保や農業生産の増大を図るなど、防衛を含めた総合的な安全保障の強化に取り組んでいます。
 また、少子化についても、児童手当の拡充や多子世帯を対象とする高等教育費の支援など、経済的負担の軽減に重点を置いた「こども未来戦略」を策定しました。

 これらを踏まえた令和6年度当初予算案は、12年振りに前年を下回りましたが、2年連続で110兆円を超える規模となっております。
 地方財政については、国の少子化対策などで自治体の負担増加が見込まれておりますが、堅調な税収に加え、地方交付税が微増となるなど、地方が必要とする一般財源総額は確保されております。

 しかしながら、新年度当初予算案における特例公債の発行額は、歳入全体の25%を超え、財源不足を赤字国債で賄う財政構造は変わっていません。
 償還や利払いに充てる国債費も過去最高の27兆円が計上されていますが、今後、金融緩和策の見直しや、それに伴う利子負担の増が見込まれることから、早急に税や社会保障制度の在り方について抜本的な議論を行う必要があると考えています。

 かつて、安保闘争で社会不安が高まる中、「所得倍増計画」により国民に夢を与え、日本を高度経済成長へと導いた池田勇人元首相は、ブレインの大平正芳官房長官らとともに、「寛容と忍耐」の精神により、農業基本法や中小企業基本法、新産業都市建設促進法などを整備し、国土の均衡ある発展と地域格差の是正を図ろうとしました。
 この考えを継承する岸田総理にも、真摯な対応で国民の政治に対する信頼を取り戻すとともに、歪な財政構造を転換するためにも、成長と分配の好循環を生み出す「新しい資本主義」を推進し、社会の中核となる中間層を厚くすることを切に期待するものであります。

本市の基本方針

 今年は、人口減少の克服と人口の東京一極集中の是正を目指す「地方創生」が始まってから10年の節目を迎えます。
 この間、全国の自治体が独自の戦略を策定し、産業振興や子育て支援の充実、移住・定住の推進などに知恵を絞ってまいりました。
 しかしながら、この10年間で国内の人口は地方を中心に280万人以上が減少し、また、従来から続いてきた東京一極集中の流れは、コロナ禍により一時減速しましたが、収束後、さらに東京への流入が加速化しております。
 バブル経済の崩壊以降、一部の大企業や富裕層が恩恵を受けてきた新自由主義のもと、所得、大企業と中小企業、都市と地方の格差が拡大し、固定化しております。
 とりわけ、東京圏と地方都市では、別な国とも思えるほどの圧倒的な格差が生じております。
 しかしながら、地方の衰退は、国家の存続に関わる重要な問題であり、国や地方自治体は、これまで真に危機感を持って向き合ってきたのかを問い直し、過度に効率性を重視する社会をつくり変えるという強い覚悟で臨む必要があると考えています。

 また、近年は、政府や経営者側からも、「賃上げ」や「人件費の価格転嫁」が言及されるようになり、地球環境に過度な負荷を与えてきた経済優先の活動に対する疑念から、SDGsやCSR(企業の社会的責任)など、これまでの新自由主義的な考え方から脱却しつつあります。
 加えて、物質的な豊かさだけでは真の豊かさを享受できないことに気付き、ゆとりある生活や、人との繋がりを求めて地方移住に関心を寄せる若者も増えています。
 今こそ地方は、それぞれの歴史や伝統文化、自然、産業など足元にある資源を活かす内発的発展を基本に、地域の魅力と可能性を高めるための努力を積み重ねることが重要であると考えています。

 現実を直視すれば、本市の人口は今後数十年にわたって減り続けますが、「人口減少」イコール「地域の衰退」を意味するものではないと思います。
 今後は、そのスピードを緩やかにすることに加え、「縮小する社会」を前提に、公共施設の統合や移動手段の確保、さらにはデジタル化の推進による利便性の向上などについて、市を挙げた議論が必要であります。
 とりわけ、少子化を巡る問題は、その効果が出るまでに長い時間を要することに加え、将来を見通せる収入や柔軟な働き方、さらにはコミュニティや医療、教育など、総合的な対策が求められていることから、行政や企業、地域が一体となってこの問題と向き合い、若者が結婚や出産に前向きになれる社会にしていくことが肝要であると考えております。
 また、人口減少が進む中、地域の活力を維持していくためには、主体的にまちづくりに関わる「人材」が重要です。
 国も、賃上げやリスキリングなどに力を入れておりますが、市としても創業や、農業、観光、文化芸術、スポーツなど、あらゆる分野で何かに挑戦しようとする人を支援するとともに、市民一人ひとりが社会や地域との繋がりを実感しながら、自分らしく過ごすことができる「心地のよい居場所づくり」に取り組むなど“地方が主役の時代”に向けて力強く邁進してまいりたいと考えております。

一般会計予算の概要

 次に、一般会計当初予算案の概要について申し上げます。
 まず、歳入のうち市税については、国の定額減税により約2億5千万円の減収となる見込みですが、その全額が特例交付金で補填されるとともに、個人市民税や固定資産税の伸びが堅調なことから、実質的な総額は前年度を上回ると見込んでおります。
 また、普通交付税も増額を見込んでおりますが、義務的経費の増加や大型事業などにより財源が不足することから、財政調整基金等を取り崩し、所要額を確保しました。
 次に、歳出については、「少子化対策」、「未来への投資」、「居場所づくり」を柱に、子育て支援や産業振興、歴史的・文化的資源を活用した地域の魅力向上、さらには公共交通の充実やデジタル化の推進などへ重点的に配分するとともに、賃上げや物価高騰による物件費の上昇や職員人件費の増加などを見込んだ結果、一般会計の総額は、対前年比7.4%増の313億円となりました。

主要な事業

第1 「安全・安心」の分野

防災対策

 大地震や頻発・激甚化する自然災害に備え、防災ラジオやスマートフォン、防災マップにより情報を発信し、防災意識の高揚を図るとともに、各町内会の自主防災組織の育成に努めてまいります。
 また、災害に強いまちづくりを進めるため、橋りょうやトンネルの補修のほか、河川や貯水機能の低下した防災重点農業用ため池の堆積土砂等の撤去を実施するとともに、倒壊等の危険がある特定空き家について、解体費の補助や新たな融資制度を設け、早期の解消に努めてまいります。

消防

 引き続き、団員の確保に努めるとともに、防火衣など消火活動の強化と安全の確保に必要な装備品の配備や、消防車両の計画的な更新を進めてまいります。

交通安全

 老朽化した道路側溝を改修し、排水機能の改善を図るとともに安全で快適な道路空間を確保してまいります。

第2 「健康・福祉・医療」の分野

結婚・出産支援

 趣味やモノづくり、体験などを盛り込んだ交流イベントを開催し、出逢いの機会を創出するとともに、「良縁あわせ隊」による伴走型のサポートや、新生活に必要な費用の補助などにより、結婚を支援してまいります。
 また、子どもを授かりたいと願う夫婦を応援するため、保険適用外の不妊治療費を助成するとともに、市の奨学金については、利用者が安心して結婚や出産できるよう制度の見直しや拡充を進めてまいります。

子育て支援

 児童福祉分野と母子保健分野を統合した「こども家庭センター」を新たに設置し、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する体制を強化してまいります。
 また、わかば保育園で、就労の有無を問わない「誰でも通園制度」を試行的に導入するとともに、おもてごう、たいしん、ひがしの各保育園でも新たに一時預かり保育を実施してまいります。
 さらに、保育士を確保するため、新卒で民間保育園に就職する方にお祝い金を支給するとともに、表郷幼稚園の敷地内に保育園を移設し、認定こども園として整備するための実施設計に取り組むなど、安心して子どもを預けられる環境を整備してまいります。

保健・医療

 新型コロナウイルス感染症が5類となりましたが、高齢者等の感染リスクは高いことから、医師会などと連携し、インフルエンザを含めた感染対策や重症化予防に万全を期してまいります。
 また、ウォーキングの歩数や健診の受診等に応じ、商品と交換できるポイントを付与する「健康ポイント事業」を継続するとともに、各種健診の受診率と利便性の向上を図るため、ウェブ上で検診が予約できるシステムを導入してまいります。

障がい福祉

 「しらかわ地域自立支援協議会」と連携し、適切なサービスや医療給付の提供に努めるとともに、生活に必要な補装具などを支援してまいります。
 また、聴覚に障がいを抱える方の相談に円滑に対応するため、タブレットを活用した遠隔手話サービスを導入してまいります。

高齢福祉

 認知症予防の効果が期待できる「脳の健康教室」を新たに開設するとともに、孤立を防止するため、「高齢者サロン」など地域における集いの場をより一層支援してまいります。
 また、身近に頼れる人がいない高齢者も安心して暮らすことができるよう、お元気コールなどによる見守りや相談体制を強化してまいります。

第3 「産業・雇用」の分野

産業の振興

 労働力を確保するため、引き続き、新規学卒者の地元定着や市外転出者のUIJターンの促進に取り組むとともに、市内で働く若手社員が本市の現状や課題について話し合い、提言する「しらかわLAB(ラボ)」を開催し、必要な支援策を探ってまいります。
 また、市内中小企業のDXを推進するため、企業人材派遣制度を活用し、首都圏の企業から専門的な知識やノウハウを有する人材を確保するとともに、産業サポート白河や商工会議所等と連携し、生産性の向上や競争力の強化に取り組む企業を支援してまいります。

企業誘致

 ニプロファーマ株式会社は、会社側の都合により残念な結果となりましたが、造成が完了する「工業の森・新白河A1工区」に道路照明を設置するとともに、県と連携し、引き続き、ロボットや医療、素材、ICT関連などの成長産業の誘致に取り組んでまいります。

中心市街地の活性化

 街なか居住を推進するため、民間事業者による共同住宅の整備に対し費用の一部を助成するとともに、駅前ロータリーを改修し、白河駅利用者の利便性を高めてまいります。
 また、商店街の賑わいを維持していくため、空き店舗への出店や飲食店等の事業承継を支援するとともに、閉店後もショーウィンドーに明かりを灯し、夜間でも温もりを感じる街なか空間を演出してまいります。

農業の振興

 就農希望者からの相談にきめ細やかに対応するとともに、就農に関する情報提供や農業体験に加え、親元就農や第三者承継を支援するなど、担い手確保により一層努めてまいります。
 また、スマート農業による作業の効率化や省力化を促進するため、機器の導入に対する支援を拡充してまいります。
 さらに、畑作の継続や拡大に向け、付加価値の高い作物への転換などを支援するとともに、営農に必要な新たな知識が得られる講座を実施するなど、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
 また、耕作放棄地の拡大を防ぐため、関係者との話し合いにより、農地ごとに将来の耕作者などを明確にする「地域計画」の策定を進めてまいります。

林業の振興

 「ふくしま森林再生事業」や「広葉樹林再生事業」による森林整備を進めるとともに、令和6年度から課税される森林環境税を財源に、地方に配分される資金を活用し、身近な里山を守る間伐や植樹、遊歩道整備などへの支援や外来昆虫等による森林被害の調査を実施してまいります。また、南湖森林公園で「子ども自然体験フェスティバル」を開催し、子どもたちが豊かな自然に触れ合う機会をつくってまいります。

観光の振興

 白河が誇る「小峰城」、「南湖公園」、「白河の関」の三史跡と、本市の文化や食、そして景観などを繋ぐ観光ルートを発信し、観光客の市内回遊を図ってまいります。
 また、福島空港と台湾を結ぶ定期チャーター便が就航したことから、県と連携し、台湾で開催される旅行博や物産展で、当地域の観光スポットや伝統工芸品などをPRするなど、インバウンドの誘客にも取り組んでまいります。

第4 「教育・文化・生涯学習」の分野

教育環境の充実

 「歴史文化再発見事業」や「仁のつどい」を通して、引き続き、子どもたちの郷土愛や人を思いやる心の醸成に取り組むとともに、様々な事情で教室に来れない児童生徒の学習環境を確保するため、専任の教員資格者を配置するなど、登校しやすい環境づくりに努めてまいります。
 また、各学校で導入していた家庭への「メール一斉配信アプリ」を、双方向型の高機能アプリに統一し、教員や保護者の負担軽減を図るとともに、老朽化が著しい白河第一小学校については、改築に向けた地質調査と基本設計に着手してまいります。
 さらに、これまで中学生を対象に実施してきた海外派遣事業を高校生まで拡充するとともに、高校生が主体的に行う地域活動をサポートするユースワーカーを配置するなど、子どもたちの国際感覚や探究心を養う環境を充実させてまいります。

文化芸術の振興

 歴史的な街並みが残る中心市街地などを舞台に現代アート展を開催するとともに、演劇や音楽を通して、子どもたちのコミュニケーション能力や瑞々しい感性、創造力を育んでまいります。
 また、コミネスでは、読売日本交響楽団や松竹特別歌舞伎の公演をはじめ、マタニティコンサートやバリアフリー演劇など、多くの方が気軽に楽しむことができる多彩な事業を実施してまいります。

文化財の保護・活用

 史跡・名勝の指定から100年を迎える南湖の価値を次世代へと引き継ぐため、公園を含む周辺全体の未来像を描く基本構想を策定するとともに、訪れた方がより快適に過ごせる園路等の整備や、南湖の魅力を発信するイベントの開催などに取り組んでまいります。
 また、本市のシンボルである小峰城についても、城郭としての威厳を高めるとともに、市民の大きな誇りとなるよう、令和7年度末の完成に向けて清水門の復元工事を進めてまいります。

男女共同参画社会の実現

 子育て中の女性などを対象にした託児付きセミナーや、子連れで参加できる企業見学バスツアーを実施するとともに、男性の家事参加を促すセミナーの開催や育児休暇取得に取り組む企業を支援するなど、固定的な性別役割分担意識の解消に向けた気運の醸成に努めてまいります。

スポーツの振興

 市民プールの改修などの環境整備に加え、各種スポーツ教室や大会の開催など、市民が広くスポーツに親しみ、参加できる機会をつくってまいります。

第5 「都市基盤」の分野

歴史と文化を活かしたまちづくり

 歴史的に価値の高い大木家住宅の公有化を図るとともに、街なか回遊の拠点としていくための基本構想を策定してまいります。
 また、歴史的風致を形成する祭礼等で使用される山車や提灯等の補修に係る費用を助成し、伝統文化の継承を支援してまいります。

空き家対策

 「活用・管理・除却」を柱に、総合的な対策を強化する改正法が昨年12月に施行されたことから、市としても空き家の利活用を促進するため、所有者に対する啓発や相談機会の充実を図るとともに、改修費等の支援を強化してまいります。
 また、廃校施設については、地域の活性化を前提とした活用を検討するにあたり、民間が参入しやすいよう、初期投資に対する支援制度を創設してまいります。

景観

 子どもたちを対象とした景観学習を実施するとともに、協定に基づいた建物の外観修景を支援するなど、住民との協働による景観まちづくりを進めてまいります。
 また、夜間景観を魅力的なものとしていくため、照明や演出方法などの方針を示す「光のマスタープラン」を策定してまいります。

道路網の整備

 生活道路である「老久保2号線」や、地域間を結ぶ「中寺栃本線」などの整備を進めてまいります。
 また、白河駅から小峰通りや小南湖を経由して国道294号白河バイパスに至る「県道白河駅停車場線」について、県と連携し、早期完了を目指してまいります。

都市公園

 公園利用者が安全かつ快適に過ごせるよう、長寿命化計画に基づき、複合遊具の更新やトイレの修繕を進めてまいります。
 また、立地適正化計画において、街なか居住区域としている白河駅及び新白河駅周辺について、都市環境の向上や良好な都市景観の形成を図るとともに、子どもや地域住民の憩いの空間となる公園を整備してまいります。

公共下水道

 引き続き、都市環境センターの汚泥処理施設の更新を進めてまいります。

農業集落排水

 小田川地区の汚水処理施設の更新に着手するとともに、小松地区の実施設計に取り組んでまいります。

水道事業

 老朽化した久田野配水場の更新を進めるとともに、立石地内にある送配水管の改修を行ってまいります。
 また、水道を取り巻く環境が変化する中、水道事業の持続性や安全性などを確保するため、水道ビジョンの改定に取り組んでまいります。

公共交通

 民間事業者のノウハウやネットワークを活かしながら、路線バスや循環バス、予約型乗合タクシーなどの各交通手段をスムーズに連携させるため、ルートや時刻表を見直すとともに、AIやICTの導入を検討してまいります。
 また、バス・タクシー助成券の対象に妊産婦を追加してまいります。

第6 「コミュニティ・環境」の分野

複合施設の整備

 実施設計を取りまとめ、建設工事に着手するとともに、幅広い世代が学びや交流を通して緩やかに繋がる場所となるよう、具体的な施設活用策の検討や愛称の公募など、開館に向けた準備を進めてまいります。

地域コミュニティの強化

 住民同士の結び付きを深めようとする町内会の活動などを支援するとともに、共同作業によるU字溝の設置などを行う「“結”支援事業」を推進してまいります。
 また、高校生などの若者が自由な発想でまちづくりに参加できるよう「コミュニティ・スペース・エマノン」の活動を支援してまいります。

移住・定住の促進

 首都圏等に新幹線で通勤する新規移住者に通勤費の一部を支援するとともに、ユーチューブなどを活用し、本市の魅力や暮らしやすさを発信してまいります。
 また、大信地区に新たな「お試し住宅」を整備するとともに、入居率の低い市営住宅の空き住戸を活用し、移住者等が自分好みに内装をアレンジできる事業を始めてまいります。

環境保全対策

 温室効果ガスの排出量を削減するため、公共施設へのLED照明や自家消費型太陽光発電パネル等の導入を進めるとともに、EV公用車のシェアリングや食品ロスの削減を図るマッチングサービスの利用者拡大を図ってまいります。

行財政運営

財政の状況

 今後、少子高齢化に伴う社会保障費や老朽化が進む公共施設等の維持管理費に加え、物価高騰や賃上げによる物件費や人件費などの経常経費も増加することが見込まれており、財政は厳しくなるものと考えています。
 こうした中、本市においては、複合施設の整備に相当程度の財源を要することから、中・長期的な視点で事業の選別を行い、計画的で安定した財政運営に努めてまいります。

組織の見直し

 デジタル技術の活用やライドシェアなど、公共交通を取り巻く変化に対応しながら、交通、商業、観光などの事業者の協力のもと、本市に適した交通基盤を確立していくため、生活防災課に「公共交通係」を、また、少子化対策について本市特有の要因を調査・分析するとともに、若者や子育て世代など多様な意見を取り入れ、新たな施策の企画・総合調整を部局横断で行うため、こども支援課に「こども企画係」を新設いたします。

デジタル化の推進

 引き続き、行政手続きのオンライン化やキャッシュレス化を進め、市民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により行政運営の更なる効率化を図ってまいります。
 また、多くの市民がデジタル化のメリットを享受できるよう、特に高齢の方が気軽に参加できるスマートフォン教室や相談会を開催してまいります。

広報広聴

 広報紙をはじめLINEやユーチューブなどのSNSを活用し、市民のニーズを捉えた情報を迅速かつ効果的に発信するとともに、「市長への手紙」や各種事業説明会などあらゆる機会を通して、市民の意見や提案を拝聴し、施策に活かしてまいります。

おわりに

 今、世界では、経済的格差の拡大やポピュリズムの台頭などを背景に「民主主義の危機」が叫ばれ、日本でも政治に対する無関心が危惧されています。
 ウインストン・チャーチルは、こう言いました。
 「民主主義は最悪の政治と言える。ただし、これまで試みられてきた、他の政治体制を除けば」と。
 私も、民主主義に勝る政治制度はないと考えております。
 しかしながら、人類が長い時間をかけ、苦難の末に勝ち取ってきた「自由・人権・平等」を享受するためには、国民にも民主主義を守るという強い意識が求められます。
 同じイギリスの政治家ジェームズ・ブライスは、「地方自治は民主主義の学校である」と言っております。
 これは、地域の人々が、身近な問題について、様々な議論を重ね、自主的に取り組むことにより、市民としての自覚と公共精神が養われ、国や社会をより良い方向に進められるという意味であります。
 このことからも、住民の声が反映されやすい二元代表制を採用する地方自治体において、行政と議会が、真摯な議論を通し、それを政策に結び付け、もって市民の福祉向上を図ることによって、よりしなやかで強靭な民主主義をつくり上げていく必要があります。

 地方は、人口減少や少子高齢化、地域経済の活性化やコミュニティの維持、格差や貧困、そして災害の備えなど、難しい課題が山積しております。
 しかしながら、「自分たちの地域は自分たちでつくる」という気概で挑戦し、白河の明るい未来を切り拓いてまいりますので、議員各位並びに市民の皆様にも、より一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針の表明といたします。

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