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施政方針

施政方針は、市政運営にあたり基本的な考え方や当初予算の概要、主な事業について述べたものです。

令和8年度施政方針

令和8年2月25日 白河市長   鈴木 和夫

はじめに

 令和8年3月市議会定例会の開会にあたり、新年度における市政運営について、所信の一端を申し上げます。

 さて、世界は今、歴史の大きな転換点に立っています。
 自らを「ピースメーカー(平和の構築者)」と称するトランプ大統領が、南北アメリカ大陸に対する欧州列強の干渉を否定したモンロー主義を独善的に解釈し、国際法を無視してベネズエラを武力攻撃しました。
 背景には、アメリカの裏庭で存在感を高める中国を牽制すると同時に、石油利権の掌握という目的があったと言われておりますが、その後も、デンマーク自治領であるグリーンランドの領有やパナマ運河の管理に意欲を示すなど、西半球を力で支配しようとしています。 
 これまで、世界の警察官として、法による国際秩序を牽引してきたアメリカの変貌に、EUはじめ自由主義陣営の国々は唖然としております。
 力による支配が容認されるなら、中国やロシアも周辺への軍事圧力を強めることは明白であり、時計の針が帝国主義的な時代へ後戻りしている状況に強い危惧の念を抱いております。
 また、格差や貧困など、行き過ぎた資本主義に対する反発や、国民の歓心を買おうとするポピュリズムが世界に横行し、対立と分断の深まりを背景に独裁的国家が増え、今や民主国家の数を上回るなど、民主主義の衰弱が深刻化しています。

 経済の面では、トランプ関税の影響や中国経済の減速など、先行き不透明な面もありますが、人工知能はもとより、その開発に必要な半導体やデータセンターを扱うIT企業に全世界から巨額の資金が集まるなど、AI産業が世界経済を牽引しております。
 しかしながら、アメリカは国家安全保障上の懸念から、中国を強く意識した半導体包囲網を敷き、中国もレアアースの輸出規制で対抗するなど、「経済の武器化」が先鋭化しており、資源を「持つ国」と「持たざる国」との二極化が進んでいます。
 日本やEUなど中堅国家は、ダボス会議でカナダのカーニー首相が演説したように、立場を同じくする国々と連携し、重要鉱物はもとより、食料やエネルギーのサプライチェーンを強化するとともに、TPP加盟国の拡大を図るなど、多国間協調の枠組みを再構築し、大国の経済的威圧に対する抑止力を高めるための対策を講じなければなりません。

 一方、国内では、昨年10月に首班指名を受けた高市総理大臣が、堅調な支持率を背景に、急遽、1月の通常国会冒頭で衆議院を解散し、戦後最短の16日間という短期決戦の結果、自民党が単独で3分の2を超える議席を獲得しました。
 長引く景気低迷や人口減少などにより、漠然とした不安や閉塞感が社会を覆う中、高市総理の「日本を変えよう」とするメッセージが、国民に強く響いたことが大きな要因になったものと推測しております。
 しかしながら、前回から僅か1年3ヶ月での解散であり、近年は、任期満了の選挙が極端に少ないこと、また、新年度予算の審議を先送りしてまで、信を問う必要があったのか、との疑問の声も少なくありません。
 解散についてドイツでは、ヒトラー独裁の反省を踏まえ、憲法で解散権の行使が厳格に制限されており、イギリスやフランスにおいても、任期満了による解散が一般的となっております。
 日本においても、憲法第7条による解散の解釈について、国会はもとより、国民的な議論をすべきものと思っております。
 また、総理大臣が自己の政策を実現するため、政権基盤の安定を目指すのは当然であります。しかしながら、今般の選挙では、殆どの政党が、恒久的な代替財源についての議論を深めずに、消費税の減税を訴えるなど、全体的に財政ポピュリズムに傾いていることを憂慮しております。
 さらに、総理は、強い日本を標榜されておりますが、それを実現するには、その基盤となる地方を強く豊かにしていくのは当然であります。
 しかしながら現状は、若者の流出や地域経済の停滞、さらには大都市との格差など、地方は大きな問題を抱えております。
 とりわけ、専門職など、職員の確保が困難な小規模自治体では、基本的な行政サービスを担うことも難しくなり、業務の一部を国や都道府県に移行することや、近隣の市町村で補完することについて、国は、地方自治法の改正を視野に議論を進めております。
 政府は、目の前の課題に終始することなく、長期的な視点から、少子化対策や地方に波及する経済対策はもとより、農林業の振興や教育、さらには社会経済状況の変化を踏まえた地方行財政制度の在り方などについて、地に足をつけた議論を行うよう切に願うものであります。

 経済に目を転じると、平均株価が初めて5万円を超え、大手企業を中心に大幅な賃上げや、日銀による政策金利の引き上げが実施されるなど、国内経済は、デフレ下で染みついたコストカット型の経済から脱却できるチャンスを迎えています。
 しかしながら、価格転嫁やDXに対応できない中小企業は、給与の引き上げや人材確保に苦慮するなど、大企業との格差は拡大し、物価高に伴う実質賃金の減少により個人消費も伸び悩むなど、金融経済と実態経済には大きな乖離が生じております。
 また、日米の金利差が縮小し、円高に振れるはずの為替は、日本の財政政策に対する懸念から円の信認が揺らいでいることもあり、異常とも言える円安基調が続き、インフレを助長するなど、国民の生活に重くのしかかっています。
 GDPも、経済の低迷に加え、円安も影響し、数年前にはドイツに抜かれ、今年末にはインドの後塵を拝し、世界第5位に後退すると予測されています。

 こうした中、総理は「責任ある積極財政」により、日本経済を再度成長軌道に乗せるため、かねてより提唱してきた「危機管理投資」を成長戦略の柱に位置づけ、安全保障や国防、自然災害など、様々なリスクに対する強靱性を高めるとともに、AIや半導体、造船、航空・宇宙など17の重点戦略分野に対し、多角的な視点から支援を講じるとしております。
 また、生活に関連する分野では、現役世代の保険料負担を軽減するため、公定価格である「薬価」の引き下げや、高額療養費制度の見直しなどを行う一方、経営が厳しい医療機関を支援するため、診療報酬を大幅に引き上げるとともに、通常3年ごとに行われる介護報酬の改定を前倒しし、介護従事者の処遇改善を図るとしています。
 地方財政については、社会保障関係費や人件費の増加に加え、「いわゆる教育無償化」やガソリン等の暫定税率廃止に伴う地方負担が計上され、地方税や地方交付税の総額も前年度を上回るなど、地方が安定した行政サービスを提供するために必要な一般財源は確保されております。
 これらを踏まえて編成された令和8年度当初予算案は、過去最大であった昨年を7兆円も上回り、初めて120兆円を超える規模となりました。

 しかしながら、インフレや堅調な企業業績を背景に税収が過去最高を見込んでいるにも関わらず、社会保障費や防衛費に加え、「金利のある世界」となったことに伴う利払い費も大幅に増え、新規国債発行額が昨年度を上回るなど、依然として財源不足を赤字国債で賄う状態が続いています。
 戦前の日本が、大量の国債で軍事費を調達し、無謀な戦争に突き進んでいったことを教訓に、財政法が赤字国債の発行を原則禁止としていることを忘れてはならないと思います。
 円安の進行や長期金利の上昇など、市場も財政規律の緩みに警鐘を鳴らしており、第一次オイルショックによる景気後退の折に、当時の大平正芳大蔵大臣が、特例公債法の導入は「1年限り」としたように、現政権も「責任ある積極財政」の“責任”の部分を明確にする必要があります。
 また、AIや半導体、重要鉱物など、世界で激しい競争が行われている分野に重点投資することは理解できるものの、概して総花的であり、今後、成長戦略の長期的な展望を示すと同時に、その効果が地方や、大企業を支える中小企業にも波及する方策を講ずることを強く期待するものであります。

 次に、県の当初予算案は、県政150周年を迎えるにあたり、東日本大震災からの復興と地方創生を加速させるとし、人口減少対策や基幹産業の振興に加え、物価高への対応や防災力の強化などに1兆2,600億円が計上されました。
 とりわけ、人口減少対策につきましては、転出超過数が全国ワースト2位となるなど、若者や女性の流出が続いていることから、昨年7月に立ち上げた官民連携組織「ふくしま共創チーム」において集約した若者の意見を取り入れ、大規模な出会いの場の創出や、企業情報の発信力の強化、さらには、地域探究活動をとおした小中学生の郷土愛の醸成などに注力するとしています。
 また、地域ごとの実情を踏まえた人口減少対策を講じるための予算も計上されていることから、県南の中心市として県の関係機関及び管内町村と連携し、首都圏との近接性を活かした移住・定住の促進や、地元企業の情報発信などに取り組んでまいります。

本市の基本方針

 さて、昨年は、戦後80年の節目でありましたが、今年は、日本国憲法の公布から80年にあたります。
 極端な国家主義や軍国主義が招いた戦争への深い反省に立つ憲法は、国家権力から国民の権利と自由を守るため、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を国家の基本原理とするとともに、民主主義を支える基盤として「地方自治」を保障しました。
 これを機に国と地方自治体の関係は大きく変わり、地方自治法の施行や、シャウプ勧告による地方税源の強化、地方財政調整制度の創設、そして昭和の大合併などを経て、地方自治の環境は次第に整備されてきましたが、高度経済成長に伴い、公害や、都市と地方の格差など様々な弊害が顕在化したため、国主導の画一的な政策に対する疑念が広がり、地方分権の声が高まってくることになります。
 平成5年の衆参両院による地方分権推進決議や、平成12年の地方分権一括法の施行に始まる分権化の流れは、明治の市制・町村制度の導入と、戦後の地方自治制度改革に次ぐ「第三の改革」と言われ、国と地方は「上下・主従」から「対等・協力」の関係に変わるなど、地方自治は一定の進展を見ることとなります。
 しかし、近年は、急激な人口減少や地域経済の停滞により国に依存する傾向が強くなり、自治の力が劣化する一方、コロナ禍をきっかけに、国の裁量が拡大する余地を含んだまま「国の指示権」が拡充されるなど、中央集権化が進んでいるように思われます。
 また、SNSが普及し、本来、開かれているはずのネット空間で、同じ考えを持つ者同士が繋がり、あたかも多数の支持を集めたかのように見せる手法が常套化しているため、冷静な議論ができない雰囲気が蔓延しております。
 これは、戦前、民衆の圧倒的支持のもとヒトラーが台頭した時や、日本の政党政治が自壊した時代の空気と似ていると言われています。
 歴史は繰り返さないが、韻を踏むと言います。
 行政や議会は、地方を取り巻く環境や物事の本質を見極める目を養い、理性的かつ建設的な議論を行うことで、民主主義のあるべき姿を市民に示し、自治の力を取り戻し、さらに強化する必要があると考えています。

 長期的に見れば、東京も含めた全ての地域で人口が減少するのは必至であります。今後は、「スマートシュリンク(賢く縮む)」を前提に、少子化対策はもとより、雇用や医療・介護、さらには住環境や教育、そして連携や受益と負担の在り方などについて、幅広い議論を行うことは私たちに課せられた義務であります。
 とりわけ、介護や建設分野などでは、働き手不足が深刻化し、外国人に頼らざるを得ない状況となることから、外国人も市民の一員として共に暮らしていける「多文化共生」についても具体的対策を講ずる必要があります。
 また、若者や女性が帰りたい、住み続けたいと思える地域としていくため、AIやロボットなどの先端技術と、地域に根を張る中小企業のノウハウや伝統文化を融合させ、新たな価値を生み出すイノベーションを支援することにより、地域産業の底上げを図り、安定した雇用を創出する一方、地方に根強く残るジェンダーギャップや目に見えない偏見の解消に取り組んでまいります。
 加えて、フェイクを含めた大量の情報が溢れる時代を生き抜くためには、心と体を使い、様々な体験を積み重ね、感受性や想像力を高めることが一層重要になることから、文化・芸術やスポーツの振興に加え、複合施設「しらふる」を中心に、市民同士が緩やかに繋がりながら、交流できる居場所の充実を図ってまいります。

一般会計予算の概要

 次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。 
 まず、歳入のうち市税については、給与や農業所得の増加に加え、企業の設備投資も堅調なことから、個人市民税や固定資産税は増収となり、総額は過去最高となる見込みです。
 また、地方交付税は、物価高騰や人件費の増加に伴う経費が反映されたことから、一定額を確保できるものと見込んでおります。
 複合施設「しらふる」については、国の補助金を活用した上で、不足分を基金から取り崩し、所要額を確保するとともに、給食費は、国の物価高騰臨時交付金を充当し、保護者の負担軽減を図りました。
 次に、歳出については、今年度も「少子化対策」「未来への投資」「居場所づくり」を柱に、人口減少対策や子育て支援、産業振興や多文化共生、さらには、環境保全や公共交通の充実などに重点的に配分した結果、一般会計の総額は346億8,000万円となりました。

主要な事業

第1  「安全・安心」の分野

防災対策

 防災意識の高揚と災害対応能力の向上を図るため、県と共催で水防訓練を実施してまいります。

災害に強いまちづくり

 老朽空き家に加え、老朽化の著しい「不良空き家」を解体補助の対象に追加し、倒壊等の危険が高い「特定空き家」の発生を未然に防いでまいります。

交通安全

 老朽化した道路側溝や側溝蓋の改修に加え、傷んだ舗装の補修を実施し、安全で快適な道路環境を確保してまいります。

第2  「健康・福祉・医療」の分野

結婚支援

 若者が仕事帰りに気軽に参加できる「ヨル活交流事業」のイベント内容を見直し、自然な流れで男女が出会う機会を充実させてまいります。

子育て支援

 こどもの誕生を祝福するため、赤ちゃんの名前を入れた「白河だるま」をプレゼントし、社会全体で子育てを応援する機運を高めてまいります。
 また、「わかば保育園」に加え、「さくら保育園」においても「こども誰でも通園事業」を実施するとともに、公立初の認定こども園となる「表郷こども園」を9月に開園するなど、保育環境の充実を図ってまいります。
 加えて、不適切な養育環境に置かれた児童に、家庭や学校とは異なる「第三の居場所」を用意し、児童とその家庭の課題に寄り添った支援を行うなど、こどもたちの健全な育成環境の確保にも取り組んでまいります。

学校給食

 国は、「いわゆる給食無償化」を打ち出しましたが、正確には負担軽減と言うべきものであり、国の示す基準額を超える分は、保護者から徴収することができるという方針が示されております。
 本市の給食費は、この基準額を大きく超えております。市としては、この差額を補填することにより、令和8年度は小学校の給食費を無償とすることとし、中学校の給食については、引き続き、食材高騰分を支援してまいります。      

保健・医療

 こどもの急な体調不良に対応するため、深夜でも医師に相談できるアプリを導入するとともに、自殺対策を総合的に推進するため、新たに「いのちを守る条例」を制定し、市や市民、関係機関の役割などを明確にしてまいります。 

地域福祉

 社会的孤立や虐待、ヤングケアラーなど、複雑化する悩みや困りごとに対応していくため、24時間、誰でも気軽に利用できる傾聴型のAIチャットボットシステムを導入し、相談者のネガティブ感情の低減を図るとともに、対面や電話による相談をためらう方にも配慮した、きめ細やかなサポート体制を整えてまいります。

高齢福祉

 しらかわ介護福祉専門学校に入学する日本人学生が減少する中、地域の介護従事者を確保していくため、家賃補助や修学資金等の保証をとおし、介護を学ぶ外国人留学生を支援してまいります。
 また、広範囲にわたる移動が必要な訪問介護事業所の経営安定を図るため、介護報酬には含まれない燃料費や車両維持費の一部を支援してまいります。

第3  「産業・雇用」の分野

産業の振興

 地元企業や地場産品の魅力を広く発信するとともに、小中学生が地域の産業を知り、ひいては仕事を体験できる機会を提供するため、「産業祭」を開催してまいります。
 また、中小企業が直面する人手不足や原材料価格の高騰などに対応するため、産業サポート白河や商工会議所などと連携しながら、事業承継や人材育成、DXなどを支援し、企業の体質強化を図ってまいります。
 加えて、労働力不足を補うために外国人を雇用する企業が増えていることから、「やさしい日本語」を使用した暮らしのガイドブックを作成し、日常生活をサポートするなど、外国人も地域の一員として共に暮らしていけるよう、多文化共生に向けた取り組みを進めてまいります。

企業誘致

 生産拠点の国内回帰が進んでいることから、表郷堀之内地内の市有地を産業用地として整備するため、基本設計や実施設計に取り組んでまいります。

農業の振興

 スマート農業を推進し、作業の効率化や省力化を図るとともに、営農の記録や圃場の情報を管理できる営農アプリの利用を支援し、本市農業のDXを進めてまいります。
 また、温暖化により斑点米カメムシ類が多発していることから、防除に取り組む水稲生産者を支援するとともに、有害鳥獣対策として、狩猟に興味のある方や新人ハンターを対象とした狩猟体験ツアーを実施し、捕獲従事者の育成と確保を図ってまいります。

林業の振興

 「ふくしま森林再生事業」や「広葉樹林再生事業」を活用した森林整備を進めるとともに、森林環境譲与税を活用し、手入れが行われていない民有林についても、林業経営に適した森林は、適切な経営者に管理を委託できる体制を整えてまいります。

観光の振興

 「小峰城さくらまつり」を、ふくしまDCの特別企画に位置づけ、大河ドラマ「べらぼう」の出演俳優によるトークショーなどを開催し、話題性と歴史的魅力を同時に高めてまいります。
 また、奥会津の自治体と連携し、オリジナルの旅絵本の制作や合同観光プロモーションを開催するなど、本市を奥会津へのゲートウェイとした観光と交流の推進に取り組み、関係人口や交流人口の拡大を図ってまいります。

第4  「教育・文化・生涯学習」の分野

学校教育の充実

 不登校傾向の児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、個に応じた指導に注力するとともに、とりわけ、大信地域では、連続した9年間の中で、異学年や地域との交流などをとおし、確かな学力向上はもとより、思いやりやコミュニケーション能力を育む小中連携教育を推進してまいります。

読書環境の充実

 児童向け雑誌として抜群の知名度を誇る「コロコロコミック」と連携し、図書館が「こどもとその家族の居場所」となれるようイメージの刷新を図ってまいります。

文化芸術の振興

 令和9年度に予定している「第九演奏会」の開催に向け、新たに市民合唱団を結成するなど、幅広い世代が共に音楽活動を楽しむことができる環境の整備を図ってまいります。
 また、開館10周年を迎えるコミネスでは、「NHK交響楽団」による演奏会をはじめ、「劇団青年座」の舞台公演や落語会など、多くの人が文化芸術に親しむことができる多様な事業を実施してまいります。

文化財の保護と活用

 令和9年3月の完成に向け、小峰城の清水門復元工事を進めるとともに、南湖公園においては、一方通行化した北岸道路の改良や南西側の園路整備を行い、歴史や文化と、現代の活気が共存する空間づくりに取り組んでまいります。
 また、表郷金山に自生する希少植物「ビャッコイ」の国の天然記念物指定に向けた手続きを進めてまいります。

白河藩成立400年

 令和9年が白河藩成立400年の節目となることから、先人が築き上げてきた本市の歴史や伝統、文化を再認識する機会とし、地域に対する市民の愛着と誇りを醸成していくため、各種周年事業の実施に向けた準備を進めてまいります。

男女共同参画社会の実現

 主に女性を対象とした就労相談や、仕事と家庭の両立に関するワークショップなどを開催し、女性の就職やコミュニティづくりを後押ししてまいります。

スポーツの振興

 令和9年4月の供用開始に向け、表郷総合運動公園において、サッカー競技などで利用できる県南地域唯一の人工芝グラウンドの整備を進めるなど、市民が気軽にスポーツを楽しみ、交流を深めることができる環境を整えてまいります。

第5  「都市基盤」の分野

歴史と文化を活かしたまちづくり

 天神町にある「大木家住宅」を、江戸後期の風情を感じる宿泊施設や店舗等として活用していくための実施設計に着手してまいります。

良好な住環境の形成

 土地の流動化を図るため、街なかに点在する低未利用土地を活用して宅地を造成する際の費用を助成するとともに、市内の空き家について実態調査を実施し、遊休不動産の適正管理や積極的な利活用を促してまいります。
 また、立地適正化計画における居住誘導区域内に住宅を取得する若年世帯や子育て世帯に対し、建築費や購入費の一部を支援するとともに、白河駅及び新白河駅周辺への公園整備を進め、こどもから高齢者まで、誰もが安全で快適に過ごすことができる憩いの空間を確保してまいります。

水道事業

 人工衛星を活用したAI漏水調査を取り入れ、地下漏水の早期発見と修繕に繋げるなど、水の安定供給はもとより、漏水に伴う道路陥没等の二次被害の予防も図ってまいります。

公共交通

 これまで実施してきた実証実験の結果を踏まえ、高齢者や妊産婦などを対象に、タクシー料金の2分の1を補助する「定率タクシー支援事業」を市内全域で実施し、バスや自家用車の利用が困難な方の移動を支援してまいります。

第6  「コミュニティ・環境」の分野

複合施設「しらふる」

 施設本体工事に合わせて、通信ネットワーク環境等の整備を進めるとともに、円滑な施設運営を図るための人材確保やマニュアル策定など、開館に向けた準備に取り組んでまいります。

地域コミュニティの強化

 町内会が開催する敬老会や子ども会活動を助成するとともに、共同作業によるU字溝の設置などを支援する「結支援事業」などをとおし、住民同士の結び付きを深めてまいります。

移住・定住の促進

 ポータルサイトやユーチューブを活用し、本市の魅力や旬な話題など、移住に必要な情報を発信するとともに、表郷と大信にある行政分譲地の建築助成金を拡充し、若者や子育て世帯の移住や定住を促してまいります。
 また、移住者がスムーズに地域に溶け込むことができるよう、地域づくり団体と連携しながら、そば打ち体験や街歩きなどをとおして交流を促進することにより、移住後のコミュニティ形成を支援してまいります

環境保全対策

 市民一人あたりのごみ排出量が県の平均を上回ることから、「わけて・しぼって・へらそう」をテーマに、市民総ぐるみの「ごみ減量大作戦」を展開し、ごみに対する市民の意識の改革と行動変容を促してまいります。
 また、温室効果ガスの排出量を削減していくため、引き続き、公共施設の照明をLEDに更新してまいります。

行財政運営

財政

 社会保障費や給与関係費に加え、金利上昇や物価高騰により、利払い費や公共施設の維持管理費が増加していくことから、より厳しくなるものと考えています。
 また、人口減少に伴い、税収も減ると見込まれることから、生産性の向上や企業の誘致により、税源の涵養を図るとともに、スマートシュリンクの視点から歳出の見直しにも努めてまいります。

行政改革

 第3次行政経営改革プランに基づき、業務の効率化や町内会との連携強化、さらには公共施設の適正管理などに取り組み、安定的で持続可能な行政運営を確保してまいります。
 また、行政手続きのオンライン化やキャッシュレス化を進め、多様な市民ニーズに対応するとともに、デジタル技術やAI等を活用し、行政サービスの更なる充実を図ってまいります。

組織の見直し

 空き家や空き地の活用と街なか居住を一体的に推進するため、まちづくり推進課に「まちなか居住推進係」を新設するとともに、機動性と柔軟性をもって行政サービスを提供していくため本庁と庁舎の組織体制を再編してまいります。

広報広聴

 ホームページや各種SNSのアクセスデータを分析し、市民のニーズを捉えた情報を効果的かつタイムリーに発信してまいります。
 また、「市長への手紙」や、こども専用の公聴チャンネル「こえぽす」、さらには各種説明会など、あらゆる機会をとおして市民の意見や提案を拝聴し、施策に活かしてまいります。
 以上、新年度における市政運営と当面する諸課題について、基本的な方針を申し上げました。

おわりに

 昨年の大河ドラマ「べらぼう」は、老中首座にあった松平定信公の使命感や苦悩、そして愛すべき人間性をも描いておりました。
 定信公は、弱者救済に心を砕き、天明の飢饉の際に、藩内から一人の餓死者も出さなかった政治手腕が高く評価されております。後年の天保の飢饉の折に、同様の功績を挙げたのが、愛知県渥美半島にあった田原藩の家老で、高名な画家でもあった「渡辺崋山」であります。
 崋山は、僅か1万2,000石の小藩の財政を立て直すため、半島の温暖な気候に着目しサトウキビ栽培に挑戦するなど、殖産興業に努めるとともに、飢饉に備えて米を蓄えるなど、領民の生活安定に腐心した政治家である一方、外国船が頻繁に出没する状況に鎖国を継続する危うさを憂えた警世家としても知られております。
 崋山は、交渉に関する心得をまとめた「八勿(はちぶつ)の訓」を残しておりますが、その中に「眼前の繰り回しに百年の計を忘るなかれ」という言葉があります。
 これは、目先の損得にとらわれて、長期的な展望を欠かしてはいけないという意味であります。
 今、日本を取り巻く国際環境が厳しさを増し、加速する人口減少や拡大する格差、温暖化に伴う異常気象や急速な生成AIの進化など、時代の大きな転換点にあり、誰もが「正解のない問」に直面しています。
 先を見通すことが難しい時代だからこそ、イギリスの著名な歴史家の「歴史とは過去と現在の対話である」という言葉に思いを致し、歴史に学び、そこに将来へのヒントを得て、より良い社会にするための努力を続けていかなければなりません。
 ともすれば、過度に効率性や合理性を求めるあまり、人間らしく生きるために大切なことが見失われつつある今、真の豊かさとは何かを問い続け、白河の明るい未来を切り拓いてまいりたいと考えておりますので、議員各位並びに市民の皆様のより一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針の表明といたします。

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