『陽菜のせかい』上映&ヤングケアラー講演会を開催しました
令和7年1月11日(土曜日) に白河市立図書館りぶらん地域交流会議室において、ヤングケアラーの姿を描いた短編映画『陽菜のせかい』の上映と一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会代表理事の持田恭子氏による講演会を開催しました。
当日は多くの方が上映と講演会に参加し、社会問題となっているヤングケアラーに対する理解を深めました。
上映作品と当日の様子


当日アンケート中の質問と講師からの回答(一部抜粋)
質問1
認知症への対応の仕方など障がいの個々に対するポイントが分かれば教えてください。
講師からの回答
認知症のあるご家族にお一人で対応することは困難であることをお察しいたします。
白河市では「白河市ケアラー支援の推進に関する条例」があり、市役所1階の窓口に福祉の様々な問題に対しワンストップで相談に応じる「福祉まるごと相談窓口」が開設されているので、認知症のあるご家族への具体的な対応の仕方だけでなく、あなたの気持ちについてもお伝えしてご相談してみるのはいかがでしょうか?
他にも、認知症のあるご家族をケアしている市民団体を、その窓口から紹介していただいて交流会に参加してみるのはいかがでしょうか?
回答についての市の関連ページ
質問2
ケアラーやヤングケアラーに対してわたしたちにできることはあるでしょうか?
講師からの回答
関心を持っていただいてありがとうございます。
自分事にして考えてみると、なにができるのかが見えてくることがあります。
もし自分が学生時代に家族の世話をすることになっていたら何ができなくなるだろうか、周りの人にどうしてほしいかを想像していいただけたら自分事にして捉えることができるのではないでしょうか。
それこそがケアラーがしてほしいことだと思います。
質問3
感情面のサポートはどのようにアプローチしているのか知りたいです。
講師からの回答
感情面のサポートとはどういうことなのかについてヤングケアラーに伝えて理解してもらってから、どのように家族に対して感情面のサポートをしているのかを話し合っています。
そうしたことを自然に話せるような場を設けて、ときにはテーマを決めて話し合うことで、お互いに気持ちを共有し合っています。
質問4
心に不安があり、家からほとんど出ない女性がいます。カウンセリングを勧めましたが「私はなんでもない」と言います。どのように伝えればよいでしょうか?
講師からの回答
家から出ないのには、足腰が弱っていたり経済的な不安があったりするなどさまざまな理由があるのかもしれません。
誰でも気軽に相談できる心の専門家の方とお繋ぎすることができるかもしれないので、こちらも「福祉まるごと相談窓口」とお繋ぎいただくのはいかがでしょうか?
状況を判断していただき、適切に家庭訪問をしていただくことができるかもしれません。
質問5
支援者の立場として、ケアラーやヤングケアラーの問題を抱えていると思われる家庭に対して支援介入を始める場合、なにか気をつけるべき点や支援者が持つべき視点、効果的な支援方法等はありますか?
講師からの回答
気をつけるべき点は、すぐに問題解決をしようと急がないことです。
ケアラーとの信頼関係を築くことが先決で、その先に問題や悩みを打ち明けてきたら相応するサービスの提供をしてください。
例えば、高齢で認知機能が衰えている可能性のある母親の介護認定を拒むケアラーさんがいるとしても、介護認定を受けさせることを優先するのではなく、介護認定を受けることを拒む「理由」を聞いてください。
行政職員(支援者)としては、いかにしてケアラーの気持ちを理解できるかという視点を養う必要があります。
支援者目線でサービスの提供をしようとしても、それがケアラーにとって必要なサービスではないかもしれません。
また、ケアラーがたらいまわしになっていないかを注視してください。
市役所が示した紹介先がまた別の紹介先を示す、この繰り返しが重なるとケアラーは疲弊してしまいます。
支援が効果的かどうかを決めるのは支援者ではなくケアラー本人です。
現在はケアラーが自ら調べて福祉サービスを申請する申請主義ですが、これでは何を申請したらいいのかケアラーにはわかりません。
これからは行政職員の支援者が積極的にケアラーに情報を提示していただきたいです。
どのような福祉・介護サービスがあるのか、そのサービスを受けることで何が生じるのか、メリットとデメリットは何かをケアラーに教えてください。
ケアラーがよく訪れる場所、例えば、スーパーマーケットの会計後に品物を袋に入れるテーブルやトイレ、調剤薬局の杖置き場の横、病院の会計窓口、トイレの手洗い場、併設カフェなどに名刺大で持ち帰ることができるサイズの情報カードやチラシを置く、エレベーター内にポスターを貼るなどして福祉に関わる情報や案内を誰もが目にする場所に掲示していただけると、ケアラーを含む一般市民の方にとって福祉がより身近なものになるでしょう。
また、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や看護師と連携して退院後に家庭でのケアが必要だと思われるケアラーさんに情報キットを作って渡すなどの対応も考えていただけたらありがたいと思います。
問い合わせ先
- 2025年1月30日
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